2013 Fiscal Year Research-status Report
地下流水音探査法による乾燥草原地帯の浅井戸掘削地点選定方法の開発
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25560145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河合 隆行 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 特任助教 (20437536)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 浅層地下水 / 地下流水音 / 乾燥草原地帯 |
Research Abstract |
本研究では,乾燥地の草原地帯において地下水が流動する際に発する微弱な音波を地表面から集音し,簡便かつ迅速に地下水の水みち位置を特定することで,「遊牧民が日常的に利用する浅井戸をどこに掘れば生活に十分な水量が得られるか」という問題を解決するものである。 平成25年度はモンゴルの半燥草原地帯(バヤンオンジュール地区)にて,地下水観測を実施した。地下流水音データと地下水深との関連性を明らかにするため,域内の84個の既存井戸を用いて地下流水音の音圧分布,地下水位を求めた。その結果,地下流水音を用いて深度9m程度までの地下水位を推定できることが明らかになった。また,その誤差は2m以内であった。さらに,火山岩地域と堆積岩地域という地質条件の違いにより,地下流水音と地下水位の相関には特徴があることが明らかになった。また,堆積年代の相違による風化の違いも,地下流水音と地下水位の相関に影響を及ぼすことが示唆された。 また,モンゴル・バッガガズリンチュロー地区では地下流水音探査と地中レーダー探査,電気探査を併用し,地盤特性が地下流水音に及ぼす影響を確認した。小断層等の地下水が集中しやすい地盤条件で,地下流水音が明確に大きくなることが明らかになった。また,地質・堆積条件により,地下流水音に特性が現れることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の夏季に予定していた地下水調査・解析は順調に終了した。加えて,モンゴル科学技術大学のDr. Tseedulam Khuut 教授と共同で実施した地盤探査結果から,地下流水音が地下水面の深さだけではなく帯水層の地質状況にも影響を受けていることが明らかになった。そのため,モンゴル科学技術大学・地質鉱山学部との共同研究を締結し,秋季のモンゴル調査を実施した。地下流水音探査・電気探査・地中レーダー探査の結果,地盤特性が地下流水音に影響するという新たな知見を得,平成26年度には地質鉱山学部とモンゴル中西部の広範囲で調査を行うこととなった。予定していた研究達成度を超え,次の研究課題・調査の決定が成されたことをもって,進展度の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施した,モンゴルの・バヤンオンジュール地区での地下水調査を継続する。また,新たにモンゴル中西部の半乾燥草原地帯において地盤探査・地下水探査を実施し,地下の地盤・堆積状況が地下流水音に及ぼす影響を解明することで,遊牧民が使用する井戸の掘削最適地の抽出手法を確立する。
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