2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい科学コミュニケーションとしてのリサーチツーリズムの確立
Project/Area Number |
25560148
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
沼田 真也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20391138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
可知 直毅 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30124340)
保坂 哲朗 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任助教 (50626190)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 観光 / 研究者 / 世界遺産 / 科学委員会 / 科学技術コミュニケーション |
Research Abstract |
豊かな自然環境を研究対象とする活動がもたらす学術的成果を観光資源と捉え、自然科学研究と地域社会を観光によって結びつけることで、研究活動を持続的に維持しながら、地域社会への正の影響を高める観光(リサーチ・ツーリズム)の概念の確立を目指し、本年度は小笠原、屋久島を調査対象地として、研究者のサイエンスコミュニケーションや観光に対する意識や実態を理解するための予備的調査を実施した。屋久島においては、行政(環境省)、観光ガイド、ジャーナリスト、研究者を対象にヒアリングを実施し、産業、人々の価値観、観光や研究者へのまなざしについて情報を収集した。その結果、屋久島における世界自然遺産地域は「奥山」であり、人間があまり立ち入ることのない場所であり、そのような意識は今でも残っていること、農産物(ポンカン)の栽培において野生生物との軋轢が生じていること、研究者主導で行われたオープンフィールドミュージアム構想が進められてきたが、研究者と地元住民の間では温度差があること、自然科学の研究は多いが、島の観光や地域振興に資するような研究はすくないという意見があることが明らかになった。一方、小笠原では科学委員会の取り組みについて情報を収集し、世界遺産地域における観光利用のために科学的に対応すべき課題があることが明らかになった。また、小笠原及び屋久島における科学者の研究活動や世界遺産への関わりについて比較し、科学委員会が問題としている課題や取り組み方も地域間で大きく異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定通り小笠原、屋久島地域を訪問し、予備調査を実施した。そこでは、行政、マスメディア関係者、観光ガイド、研究者等、本研究に関わる人々と面会し、様々な情報を得ることができた。一方、他業務との関係から、予定していた小笠原出張の一つを実施することができなかったため、公開資料の収集や分析に変更した。したがって、全体としては概ね、研究計画通りに進んでいると言え、引き続き来年度も計画通り研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は計画通り、小笠原、知床、白神山地を調査地として加え、研究者のサイエンスコミュニケーションや観光に対する意識や実態を理解するための予備的調査を実施する。そして、小笠原地域においては観光現象における研究成果活用状況についての調査を開始する。小笠原村・父島のビジターセンター及び首都大学東京・小笠原研究委員会等が保管する資料を収集し、分析を行い、一般島民に向けた研究者の成果報告の量と内容を明らかにする。また、小笠原に所在するNGOを対象に、調査研究活動とインタープリター認定講座の運営の仕組みを当該組織の人員の配置や各々の役割、研究部門から観光部門への情報の流れを検討にする。また、観光ガイドブックなどのメディアを収集し、どのように反映されているのかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
業務との関係から、予定していた小笠原出張の一つを実施することができなかったため、公開資料の収集や分析に変更した。そのため、小笠原出張の旅費の執行を翌年度へ繰り越すこととした。 延期した出張を翌年度に実施する予定である。
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