2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research tourism as a tool for science and technology communication
Project/Area Number |
25560148
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
沼田 真也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20391138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
可知 直毅 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30124340)
保坂 哲朗 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任准教授 (50626190)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観光 / 研究者 / 世界遺産 / 科学委員会 / 科学技術コミュニケーション / 昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
豊かな自然環境を研究対象とする活動がもたらす学術的成果を観光資源と捉え、自然科学研究と地域社会を観光によって結びつけることで、研究活動を持続的に維持しながら、地域社会への正の影響を高める観光(リサーチ・ツーリズム)の概念の確立を目指し、本年度(延長期間)はこれまでに得られたデータを整理しつつ、特に生物資源を利用した観光の取り組みとして昆虫イベントに注目し、論文を執筆し、公表した。 昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず、世界一般的に認知度や好感度の低い生物である。昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著で、人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち、現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である。日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史、現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって、日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにした。さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望した。その結果、昆虫ツーリズムを含む現代日本の昆虫文化は,伝統的な部分を残しつつ,現代の社会環境に合わせてさらに多様化していると考えられた。そして、このような日本の昆虫を楽しむ文化は、昆虫に対する好感度や関心が低く、昆虫の保全が重要視されない欧米諸国とは対照的であり、日本独特の文化の一つであろうと結論づけれられた。そういう意味では、様々な地域において日本の昆虫ツーリズムはインバウンド観光客にとって興味深い文化体験の一つになる可能性がある。しかし、調査で確認されたウェブサイトの多くは日本語版のみであったため、外国人観光客の誘致には英語などによる情報の充実も必要と考えられる。
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