2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞由来リポソームを用いたトランスポーター型膜タンパク質の機能解析技術
Project/Area Number |
25560204
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 隆 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (80270883)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微小孔 / マイクロ流路 / リポソーム / 膜タンパク質 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、リポソーム膜を微小孔上に展開固定する技術の再現性と確実性を向上させることを目的に、リポソームの展開時に作用させる界面活性剤の濃度や流速などの条件を導出するとともに、その作用時間を制御するための流体操作技術を構築した。まず、ヒトリンパ球細胞に蛍光色素カルセインを内包させた後に、酪酸ナトリウムで化学的な刺激を行うことでカルセインを内包した細胞由来リポソームを生成した。次に、細胞膜アンカー分子を介してマイクロ流路の壁面上にリポソームを固定し、界面活性剤Triton X-100を含有するPBSを一定流速でマイクロ流路内に導入し、その作用によりリポソーム膜を部分的に溶解することでリポソームを展開した。リポソームに内包したカルセインが展開時に放出され、その蛍光強度が急激に低下することを確認し、これによりリポソーム展開を判定することに成功した。さらに、微小孔下のマイクロ流路内に3層流から成るシースフローを形成し、3層流の流量比を調整することで界面活性剤の作用時間を制御する技術を構築した。蛍光ビーズを用いて流れを可視化し、流量や出口圧力の条件を導出した。 研究期間全体の成果として、リポソーム膜上に存在するグルコーストランスポーターGLUT1のグルコース輸送能を評価する技術を構築した。まず、SiN製ダイアフラム内に形成した微小孔上にリポソーム膜を展開固定した。次に、微小孔の下部に配置したマイクロ流路内に蛍光標識グルコース2-NBDGを導入し、GLUT1を通過し上部流路に達した2-NBDGのみを蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により検出する技術を構築した。下部流路に導入する2-NBDGの濃度と蛍光強度の関係を定量的に評価した。さらに、GLUT1の直接阻害剤であるフロレチンを添加することでGLUT1のグルコース輸送能が低下することを確認することに成功した。
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