2013 Fiscal Year Research-status Report
風船把持が歩行獲得を促す-初期歩行遅延に対する新しい歩行支援システムの提案-
Project/Area Number |
25560388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
島谷 康司 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (00433384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 圭介 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50649754)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 風船 / 姿勢制御 / 乳幼児 |
Research Abstract |
我々は,初期歩行直後の乳児に,風船(ヘリウムガス入り)の紐を把持させると歩行が安定し,歩行距離が延長することに気付いた(島谷,2012).現状では,初期歩行発達遅延の確立した支援方法はない.このことは,初期歩行期における乳幼児の新しい歩行支援方法の可能性を示唆している.本年度は風船把持歩行の有用性について実験計画を再考するために,成人を対象に,まず風船把持の静止立位姿勢制御について検証を行った。 対象は,健常成人60名(男性:30名 女性:30名)であった。計測は重心動揺計とKINECT for Windowsを用いて3次元画像解析を行った。計測条件は,何も把持しない条件(以下、把持なし条件),風船を右手で把持する条件(以下、風船条件)の2条件を設定し,データを比較した。統計処理には,総軌跡長,実効値面積(以下、RMS),外周面積,左右軌跡長、前後軌跡長について、把持なし条件と風船条件の2群間で対応のあるt検定を行った。また,頭部・右手部・腹部の3次元座標から変動係数を算出し,2群間比較には対応のあるt検定を,群内比較にはKruskal Wallis検定および多重比較にはSteel-Dwass検定を行った。なお,有意水準は5%未満とした。 本研究の結果から,風船把持によって前後・左右の重心動揺速度が減少し,動揺のばらきを抑えて身体重心を一定範囲内に収めていることが示唆された。しかし,風船の有無によって身体部位の位置関係に有意差が見られなかったことから,風船把持による静止立位姿勢制御の機序までは明らかにすることができなかった。しかし,山本らは,ヒトは各身体部位を前後・左右に微妙に動かしながら立位姿勢を制御すると述べており,本研究では風船把持によってフィードバック制御を賦活し,各身体部位を微動させることによって,より重心動揺を減少させる立位姿勢制御が行われているものと推察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25度の予定は,実験プロトコルの修正と予備実験開始であった. 現在,プロトコルを修正し,予備実験を開始している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,修正した実験プロトコルをもとに初期歩行を開始した乳児の歩行データを収集・解析する。最終年度の平成27年度は,歩行データから初期歩行期の発達遅延を呈する乳幼児の歩行支援の有効性を導出し,実用性を検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備実験として必要であった3軸加速度センサーを利用せず,KINECTで画像を評価した. 予備実験の結果から,KINECTよりも精度の高い画像計測・解析装置を購入予定としている.
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