2014 Fiscal Year Research-status Report
海馬場所細胞の可塑性と樹状突起逆伝播スパイクの関係性の解析
Project/Area Number |
25560435
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高橋 晋 同志社大学, 高等研究教育機構, 准教授 (20510960)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 場所細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラットが新規な場所情報を獲得する過程で起こる海馬CA1野内の場所細胞の活動に着目し、その可塑的変化に関与する樹状突起逆伝播スパイクの役割について解明することを目指す挑戦的な試みである。 本年度は、実際にラットが新規に場所を認知する課題を遂行している時に、海馬CA1野からマルチニューロン活動を記録し解析を進めることを目的とした。昨年度中に完成することができなかったマイクロドライブが完成し、ニューロン活動を長期間安定して記録することに成功した。そして、海馬CA1野の錐体細胞層を中心に電極を刺入し、そのラットが約1m×1mの実験ボックス内で餌を求めて行動している際、マルチニューロン活動を記録し続けた。マルチニューロン活動と同時に計測している脳波(EEG)に鋭波とリップル波(SWR)を確認することで錐体細胞層を判別した。SWR中の場所細胞群の活動を解析することにより、ラットが実際に行動を起こす前に、場所細胞の活動リプレイが記憶に基いた将来の行動計画を表現していることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに達成することができなかったマイクロドライブの製作を完了することができ、それを活用することで、実際に行動しているラットの海馬場所細胞活動を解析することに成功した。更に、場所細胞群の活動が記憶に基いた将来の行動計画を表現していることを発見できたため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、記録したマルチニューロン活動を個々のニューロン活動に選別し、それぞれのニューロンに対して、スパイクの波形情報から細胞体、樹状突起の判別を行う。この判別手法はすでに確立しており、Takahashi and Sakurai, European Journal of Neuroscience, 2007で発表済みである。更に、相互相関解析法を用いて、細胞体から樹状突起へ逆伝播するスパイクを検出し、単一ニューロンの細胞体と樹状突起のペアを検出する。そして、ラットが未経験の環境を認知する際の可塑的変化の過程と樹状突起逆伝播スパイクの伝播確率との関係について、場所情報量を中心として解析する。また同時に、樹状突起逆伝播スパイクを抑制し制御していることが示唆されている介在細胞活動についても解析する。
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Causes of Carryover |
ニューロン活動の解析とその取り纏めに時間がかかっため、当初計画していた実験材料の購入を次年度に先送りすることにしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度初めより実験材料を早急に購入し、実験を遅滞なく進めるために次年度使用額を活用する予定である。
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Research Products
(9 results)