2014 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯落葉季節林の供給する財・サーヴィスの重層性が貧困緩和に果たす役割
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25570002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
増田 美砂 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70192747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 祐可子 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40326707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 落葉季節林 / 農村社会 / 東ジャワ / PHBM / Tectona grandis / ミャンマー / Magway / Acacia catechu |
Outline of Annual Research Achievements |
森林は,①土地利用,②木材利用,③非木材林産物利用,④環境サーヴィス利用,および⑤雇用を通して地域経済の振興や生計向上に貢献する.本研究は,国有林の管理経営システムがこれらをどのように組み込んでおり,実際に機能しているのかを,制度と地域社会の実態を通して検証した.林産物は森林型によって第一義的に規定されるため,落葉季節林帯にあり,人口稠密かつ市場に近いジャワ島と人口希薄なミャンマーを研究対象にした. ジャワ島では分権化以降の地域対策として,伐採時の分収を骨子とする共同森林管理(PHBM)が導入され.そこでティーク(Tectona grandis)林地帯における森林村において世帯調査を行ったところ,マージナルな地域では,経済発展に伴い出稼ぎが加速し,若年層では挙家離村も始まっていることが明らかになった.出稼ぎ先は,事例の1村をとってもジャワ島内の都市部だけでなくパプアやマレイシアまで含む全域に拡大し,就労先も都市インフォーマルセクターとともに,建設業やアブラヤシ農園が多かった. ①~⑤の機会のうち,③~⑤は地域経済や生計にさしたる効果をもたらさず,森林破壊ににつながる①と②の利用が経済的に大きい役割を果たしていた.PHBMは本来,地域社会が主体的に圧力を抑制し,代わりに伐採収入の一部を地域に還元するべく制度設計がなされているが,意向調査からはPHBMに対する人々の無関心がうかがえた.機械的な分収によってもたらされる資金は,新たなコンフリクトを生み出す可能性が示唆された. ジャワ島では生計における非木材林産物の重要性はほぼ失われたが,ミャンマーでは人々の生業オプションのひとつをなしていた.しかしカッチ(Acacia catechu)生産に従事する人々への面接調査では,住民の資金力の脆弱性が前渡金を構造化し,森林局への伐採許可申請も仲買人が行っていることが明らかになった.
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] The reality of an agricultural marginal society in Java Island and the effectiveness of Forest Management with Communities (PHBM)2015
Author(s)
Masuda, M., Wachyuni, M., Simonapendi, M. L., Toda, M., Adityarama, F., Sshiga, K.
Organizer
第25回日本熱帯生態学会年次大会
Place of Presentation
京都大学(京都府京都市)
Year and Date
2015-06-20 – 2015-06-21
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[Presentation] Impact of socioeconomic circumstances on forest management and forest cover in Java Island, Indonesia2014
Author(s)
Shiga, K., Damayanti, E., Wachyuni, M., Prasetyo, L., Masuda, M.
Organizer
The 2014 World Conference of the International Union of Forest Research Organizations (IUFRO)
Place of Presentation
Salt Lake City, Utah, The United States of America
Year and Date
2014-10-07 – 2014-10-10
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