2014 Fiscal Year Research-status Report
ロシア所蔵資料の実見調査に基づく西夏文字草書体の体系的研究
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25580087
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
荒川 慎太郎 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (10361734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 貴保 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40403026)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 西夏語 / 西夏文字 / 草書体 / 文献学 / 言語学 / 仏教文献 |
Outline of Annual Research Achievements |
国外の研究機関において、西夏文字草書体資料の実見調査を行い、基本資料の作成を継続している。 荒川・佐藤貴保(研究分担者:盛岡大学)は、種類・分量共に草書体資料の充実した、ロシア科学アカデミー東洋文献研究所(ロシア、サンクト・ペテルブルク市)にて、所蔵資料に関する実見調査を行った。また、敦煌石窟に書かれた草書体題記なども調査し、比較検討を行っている。 荒川は主に仏典(一部の仏典は楷書体刊本・草書体写本ともに残る)を対象とした調査を行った。先行研究で楷書体データの存在する仏典(『華厳経』など)の、草書体写本の版を調査し、楷書体・草書体の仏教術語・訳語の比較を行った。また、特に仏典「大般若波羅蜜多経」の奥書に見られる、西夏人発願者名など、判読しにくい草書体資料を精査した。 佐藤・冨田(小野)裕子(研究協力者:岡山理科大学附属中学校教諭)は、草書体で書かれた法令集の調査・研究を継続している。法令集『天盛禁令』、『亥年新法』、『法則』などの条文を比較することによって、法令・行政・軍事関連の西夏文字の「くずし方」を検討した。冨田はデータベース用の見出し文字を引き続き選定し、荒川は学生を雇用して文字のスキャン、電子データ化を進めている。佐藤・冨田は一部解読の成果を論文化した。 荒川は草書体資料の関係する研究成果を論著・論文化したほか、国際学会で報告した。学会発表ARAKAWA Shintaro, Linguistic Remarks in the Tangut Inscriptions from Dunhuang, International Conference on Inscription Studies (2014/08/12), Ulaanbaatar, Mongolia他が今年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシアでの実見調査、基本方針の策定、基礎データの収集と電子化の試行など、おおむね当初の計画通り進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度・次年度同様、ロシア科学アカデミー東洋文献研究所(ロシア、サンクト・ペテルブルク市)に短期間渡航し、西夏文草書体の実見調査を行う。また集積したデータ(くずし字の例)の入力と整理を継続して行い成果報告書にまとめる。研究成果も適宜発表、論文化する。 なお、現時点では大きな研究計画の変更はない。
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Causes of Carryover |
補助事業者(盛岡大学・佐藤貴保)のロシア渡航調査、約一回分の旅費として使用する予定であったが、補助事業者自身の研究費に余裕があり渡航が可能だった。また当人の本務の事由により、当該年度のロシア渡航回数を増やすことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査スケジュールを調整し、2015年度に、補助事業者(盛岡大学・佐藤貴保)のロシア渡航調査、約一回分の旅費として使用する。
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