2015 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災後の民俗文化にかかわる災害民族誌研究の国際的ネットワーク構築
Project/Area Number |
25580179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高倉 浩樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00305400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敏明 東北大学, 文学研究科, 教授 (80322923)
滝澤 克彦 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80516691)
岡田 浩樹 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90299058)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害人類学 / 民俗文化財 / 研究ネットワーク構築 / サルベージ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度はこれまで構築してきた国際研究ネットワークを稼働させ、国際シンポジウムを開催することとともに、震災復興における民俗文化の役割について、宮城・福島・岩手の関係研究者とも研究集会を行った。これらの活動によって国内外の関連研究者が交流する機会を提供し、災害民族誌研究の拠点としての役割を果たした。 具体的には、被災民俗文化財の調査事業の評価に関わり三回の国内研究集会を行った。そのなかで三県が調査手法や活動も異なりながら文化行政と連携しながら調査事業をしたことが明らかになるとともに、今後、人類学分野は防災に関連して文化行政と積極的に関与する必要があることが確認された。同時にそのための方法論として集団的・拡散的民族誌調査法の重要性や、文化サルベージ論がその理論的基盤になることについても確認された。 国際研究集会は2015年10月に東日本大震災と海外の事例(ニュージーランド、中国、インドネシア)の比較として実施した。また宗教学、考古学、文化行政など新たな学問領域の研究者がそれぞれの立場から東日本大震災にどう関わったか報告を受けた。このことで国を問わず人類学を含む人文学が災害復興に対して専門的知見から貢献することが確認された。特に災害をどのように住民が認識しているのかを文化研究の観点から解明すること、また災害記録を世代をこえて継承していく方法を開発することが人類学分野の重要な研究貢献であることが解明された。これは同時に震災を未来に伝えていく方法なのであった。 これらの活動の結果、中国やインドネシアの研究者とは、別予算の獲得も踏まえながら次年度以降も国際研究集会等を含む共同研究を実施していくことで合意した。
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