2013 Fiscal Year Research-status Report
先住民族(とくにアイヌ民族)の所有・財産侵害と補償問題・多文化主義
Project/Area Number |
25590022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 康夫 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20197685)
井上 勝生 北海道大学, ---, 名誉教授 (90044726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 先住(アイヌ)民族 / 補償 / 多文化主義 / 土地返還 / 遺骨 / 文化財返還 |
Research Abstract |
本年度は、まずはアイヌ民族の現代的諸課題の研究を行い、とくに、北大のアイヌ人骨盗掘問題、白老の象徴空間や博物館問題、また関東アイヌの処遇などの喫緊の現代的課題に焦点を当てて、考察を深め、関東アイヌの人との交流会(2013年5月)及びあ関コタンでの講演や北海道アイヌ協会札幌支部のアイヌシンポの基調講演などを行った(同年10月、2014年1月)。 その際の比較検討として、フロリダのセミノールインディアン(ミコスギ族)の現状の調査、また、アラスカやハワイを訪問し同地における先住民族の諸課題について、各先住民族の関係者と面会して、意見交換した(2013年5月、8月)。 関連する法理研究としては、鋭意補償法学の検討に努め、さらに、この問題の原点的問題とも言える、カリブ海諸国における奴隷補償問題の研究に着手して、ジャマイカやハイチを訪問し(2013年7月、9月)、その成果も発表した。またその他の領域としては、芸術法という分野の研究を開始し、とくに先住民族の遺産返還、ナチスなどによる略奪芸術の返還のこの分野の補償の諸課題を検討している。 なお分担者の井上は、明治初期のアイヌ民族の状況を検討し、辻は、従前どおり多文化主義の理論研究を行い、カナダ・ビクトリア大学のその分野の政治理論家のアイゼンバーグ教授を招聘し意見交換を行い、吉田も参加した(2013年12月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この期のかなりの期間、アメリカに滞在する機会に恵まれ、日本のアイヌ民族問題の研究と並行して、諸外国(とくにアメリカ)の先住民族問題の研究を行うことができて、比較検討まで行うことができたし、法理的な基礎研究として、補償問題の研究を深めることができて、次年度(平成26年度)の課題を先取できたと言えるであろう。 しかしまだ不十分な比較研究しかできておらず、今後は諸外国の状況の検討の詰めを行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、アイヌ民族問題についてはかなりまとまってきて、公表もしつつあり、それを一書にまとめる作業を行いたい。 第2に、諸外国の先住民族の補償法学の研究はまだ中途半端なので、更なる検討を進め、アメリカ以外の諸国での先住民族の状況調査にも努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の旅程がこなせなかったため。 新年度早々に行います。
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