2014 Fiscal Year Annual Research Report
人材派遣が問いかける創発的自治体間連携―震災復興社会の断面から―
Project/Area Number |
25590028
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
檜槇 貢 長崎国際大学, 人間社会学部, 客員教授 (40337423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金目 哲郎 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00610156)
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 教授 (10240194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 職員派遣 / 交流ネットワーク / 広域行政 / 水平支援 / 創発的公共性 / 連携協約 |
Outline of Annual Research Achievements |
突発的に生じた大災害を契機にした広域支援に関する自治体研究である。その対象も非被災地から被災地へ派遣される人材を主たる対象としている。 東日本大震災の復旧復興過程においては、全国各地からおびただしい数の自治体職員が派遣された。発災後4年を経た現在であっても派遣は続いている。派遣自治体にとっては、被災地と地元地域という2つの政策空間が生じている。被災地への支援と地元地域は派遣された自治体職員を通してつながれ、共振しながら地域再生を進めているという実態が明らかになった。支援・被支援の地理的関係は全国的広がりの中での水平的関係として展開してされており、これまでの府県内、中央政府との関係にみられる垂直的な指示・受容の関係とは違った対等な連携関係の形成をもたらしている。 しかもこの関係は派遣する自治体において市民・NPO等と行政の関係にも強い影響を与え、住民自治を基礎とする行政サービスの形成にも寄与することが分かった。被災地と非被災地の自治体が住民の安心安全の事務事業を進めながら、空間的連続性を前提にしない広域ネットワークの形成が進められつつある。新たな自治の形成へのヒントがこの関係で生まれていると認識することができた。 今後の課題は、これまでの防災・減災政策の軸になっている中央政府主導、科学主義の展開を超えた市民的政策思考を基礎とした政策体制形成への展開のための方策を明らかにすることである。
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