2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 毅 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40458485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 竜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50356648)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東海地震 / 地震被害想定 / 政策評価 / 公共施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は主に、東海地震対策によって公共施設の被害が軽減されるのかに関する研究で利用するデータベースの構築を行った。公共施設には学校、水道、病院、道路、庁舎などがあるが、それぞれについて市町村レベルの利用可能なデータがあるのかを調べた。全国データも必要なことから、全国レベルの公表データがあるのかについても調査した。また、東海地震対策の民間住宅への減災効果について、本研究で行った仮想現実分析の妥当性を示すためのいくつかの追加的な分析を行った。 地域別の公共施設データについては詳細な建物データを整備している自治体は少なかったが、静岡県では県施設について詳細な建物データを整備していたため、そのデータから分析に利用するデータベースを構築した。建築施設数2922棟で、建物の階数、建築年、場所、構造、耐震補修状況などのデータを含む。一方で、静岡県庁を訪問し、静岡県の被害想定で使用しているデータの利用可能性や公共施設における東海地震対策についてヒアリングを行った。その結果、静岡県の第3次被害想定で使用していたデータを利用できることが分かり、被害想定で利用されていたデータを東海地震対策の分析に利用するため、データの解析、データベースの構築も行っている。 東海地震対策の民間住宅における被害軽減効果の研究については、分析の拡張を行った。具体的には、仮想現実分析の前提である、震災対策前の強化地域と全国における建物分布が同じであるという条件が満たされるのかを1978年データで調べたほか、耐震補修状況別の被害推定も行うことによって、東海地震対策の効果とその要因について検討した。分析の結果、分析の方法は妥当であること、耐震改修の状況からも東海地震対策には減災効果がなかったことが分かった。この研究結果は、2015年度日本災害情報学会において報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東海地震対策の民間住宅における減災効果の研究では、分析結果も出て論文としてまとめられているほか、追加の分析も行って拡張を行っている。一方、東海地震対策の公共施設における減災効果について、静岡県の保有しているデータを用いて分析が可能であることが分かったが、入手に時間を要したため、分析に若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
静岡県による建物分布などの詳細なデータが入手できたことから、大幅な研究の進展が予想される。まず、このデータと民間住宅の分析で用いた分析手法を用いて分析が可能である。また、同データに含まれている情報を用いて、東海地震の予知情報の経済的価値の分析なども可能であると考えられることから、総合的に見た東海地震対策、特に予知の効果の研究も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
データベースの入手が遅れ、次年度に分析を行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にデータベースの整理と分析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)