2013 Fiscal Year Research-status Report
臨床心理士による外国人児童生徒への心理臨床的援助プログラム-いじめ予防と対応-
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25590190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
藤田 恵津子 鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (00634255)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 外国人児童生徒 / 心理臨床的援助 / 臨床心理士 / いじめ / 予防 |
Research Abstract |
本研究の目的は、臨床心理士による外国人児童生徒への心理臨床的援助プログラムを作成することである。平成24年度「研究活動スタート支援」では臨床心理士へのインタビュー調査を通して彼らへの心理臨床的援助の現状と課題について探究した。平成25年度は、日本語教員やボランティア等の支援者へのインタビュー調査を通して、教育現場で求められている心理臨床的援助やそれを促進する知識やスキル、資源等を明らかにすることを試みた。 インタビューは平成25年6月から平成26年3月にかけて、外国人児童生徒が多く在住する関東地方で4名、1団体(日本語教員6名、通訳3名)、関西地方で2名の国際学級担当教員、日本語教師、ボランティアなどに実施した。その結果、以下のことが明らかになった。「英語圏と非英語圏の人々への支援に関する意識の格差」や、異文化を背景にする子どもたちの中では心理社会的課題を抱える事例が多く見られるが、どの支援にもつながっていない「未知の被支援者」や支援対象想定外になりがちな「エリート留学生」なども見過ごせないテーマである。必要に応じて「環境調整」や「福祉的介入」がなされ、「いつでも安心して話せる場所や先生」に日常的に囲まれることで、「想像を超えるような成長」を見せる。教員との垣根を越えてきてくれるようなカウンセラーの「解放性」やコンサルテーションなどの「支援者支援」(異文化の間接的支援)が「教員のモチベーションや達成感」を高め、その結果として、子ども・保護者・学校・地域へと広がりを見せる「コミュニケーションの連鎖」へと発展していくのである。最後に、先行研究「臨床心理士の異文化受容」に関するインタビュー調査では、臨床心理士は自身の資質や能力の課題や向上について取り上げる傾向にあったが、今回のインタビュー協力者ら(多くが学校現場に携わる)は学校や地域における連携や間接的支援の必要性を語る傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年4月現在、研究計画に沿って第1期の臨床心理士および教育関係者からのインタビュー調査および分析を終了している。5月以降は、このインタビュー調査を基に教育プログラム(試行版)を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、インタビュー調査を基に、臨床心理士が必要としている「外国人児童生徒への心理臨床的援助」に関する知識や教育プログラムを解明、作成し、本研究の最終年度である平成27年度のプログラム完成、冊子作成を目ざす。学会や臨床心理士会の研修などを中心に、冊子を活用した教育プログラムを実施し、聞き取り調査などを通して改訂版を作成、臨床心理士会や教育委員会、多文化共生センターなどに配布する。また、援助プログラムの精度を高めるため、異文化間カウンセリングの先進国であるアメリカまたはカナダの、移民が多く住む西部の大学またはカウンセリング・センターで異文化間カウンセリング研修を受講する予定である。
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Research Products
(2 results)