2013 Fiscal Year Research-status Report
高次ナイキスト領域における広帯域強度雑音抑制とロックイン型顕微鏡への応用
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25600116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小関 泰之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60437374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 誘導ラマン散乱 / 雑音抑制 / 光パルス |
Research Abstract |
最新の無標識生体観察手法のひとつである誘導ラマン散乱(stimulated Raman scattering, SRS)顕微鏡では、ショット雑音限界に迫る超低雑音性を有する固体レーザーが広く用いられてきた。これは、SRS顕微鏡では2色の光パルスの間で転写されるごくわずかな強度変調を検出する必要があるからである。本研究では、固体レーザーと比較してより小型で実用性の高いファイバーレーザーをSRS顕微鏡に使用するための新技術として高次ナイキスト領域におけるロックイン検出の検討を行う。平成25年度は、研究室の立ち上げと11月の引っ越しに時間を要してしまい、本研究の開始前に提案したコリニアバランスド検出による雑音低減手法を用いたファイバーレーザーSRS顕微鏡の完成度を高めるところまでしか進めることができなかった。また、その結果について論文投稿を行い、Jpn. J. Appl. Phys.誌に採択された。また、Erファイバーレーザーの構成の検討と試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年4月の研究室立ち上げ及び11月の実験室の引っ越しの影響が当初の想定以上に大きかったため、研究の進展が遅れた。その間、従来方式の完成度を高め、雑誌投稿を行うことと、Erファイバーレーザーの構成の検討と試作までしか達成できず、本研究で実証を目指す高次ナイキスト領域におけるロックイン検出の原理の検証はできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ピコ秒Erファイバーレーザーの製作、エルビウム添加光ファイバーによる光増幅、周期反転LiNbO3結晶による波長変換を用いたポンプ光発生実験を早急に進めるとともに、高次ナイキスト領域における雑音抑制のための干渉計及び光検出器の設計・製作を行う。これによって、光パルスの広帯域雑音低減の効果を今年度前半に検証したい。光検出器の製作で鍵となるのは、LC共振により広帯域に高周波信号を得るための回路であり、ここは設計と試作を何度か繰り返す必要がある。 原理検証が成功した場合、本年度後半において、現有するストークス光源(Ybファイバーレーザー)との同期実験、及び、ビデオレートでのSRSイメージング実験を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ当初の予定通りの研究費を使用したものの、物品費を節約できたため、総額の1.5%程度の残額が生じた。 次年度の電子回路製作費に充てる予定である。
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