2015 Fiscal Year Annual Research Report
縮小社会の都市計画における性能規定および用途混合の可能性に関する研究
Project/Area Number |
25630246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 徹 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (70436583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市計画 / 都市居住論 / 縮小社会 / 性能規定 / 用途混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、開発圧力の抑制と居住環境の保護を目的とした従来の「規制のための計画」から、少子高齢化と人口減少を背景に地域の特性に応じた「誘導のための計画」への転換が求められている今後の都市計画に焦点を当て、縮小社会の新たな課題に対応しうる計画手法として「性能規定」と「用途混合」を取り上げ、実証分析をおこなった。対象地として東京都の4つの区(世田谷区、杉並区、台東区、墨田区)を選定し、合計4,000人の居住者へのアンケート調査をもとに、用途の混在に対する居住者の意識(主観的評価)の分析に基づきながら、性能規定の効果および適用可能性について分析した。 具体的には、(1) 居住地周辺にあった方がいいと思う用途、およびない方がいいと思う用途;(2) あった方がいい、あるいはない方がいいと思う理由;(3) ない方がいいと思う用途の嫌悪理由が改善されたとした場合、居住地周辺にあった方がいいと思うか;(4) 居住環境を悪くするという面では混在を望まないが、生活の利便性の面では混在していてもいいと考える用途、などについて尋ねる質問票を作成し、調査を行った。その結果、居住地周辺にない方がいいと評価される用途として、短期滞在型マンション、ごみ処理施設、倉庫、遊戯施設などがあることがわかった。さらに、ない方がいいと思う理由にも一定の傾向が見られ、とくに騒音と不特定者の往来の2点が挙げられる割合が高いことが示された。 これらの結果に基づき、各用途の居住地周辺への混在と、昼夜の騒音および不特定者往来の程度を組み合わせた複数のシナリオを作成し、居住者による居住環境と生活利便性の心理的評価をコンジョイント分析により調べた。得られた結果から、公園、商店街、病院などについては、性能改善による心理的評価の向上が見込まれることがわかり、これらの用途に関する今後の性能規定適用の可能性について、議論・考察を行った。
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