2014 Fiscal Year Annual Research Report
「まちなか医療」と「まちなみ景観」の相互補完に関する研究
Project/Area Number |
25630253
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
後藤 春彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70170462)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | まちなか医療 / まちなみ景観 / 空き家活用 / 地域包括医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の三段階で研究を進めた。 (1)まちなか医療の機能とスキームを提示するため、対象地(今井町)に在住する高齢者について、身体状況と行動実態の関係を分析し、以下の知見を得た:i)自立高齢者は積極的に自動車・自転車を利用しており、その行動範囲は広く、数キロ圏に及ぶ。ii)町内には目的地となる拠点が少なく、自立高齢者は町外の目的地に頻繁に出かけている。iii)70代前後でリハビリ等を活発に行った高齢者は、その後も身体機能を高いレベルで維持する傾向がある。iv)地域活動への参加やデイサービスの利用など人的交流が活発な高齢者は、積極的に外出する傾向がある。v)要介護者の行動範囲は狭く、概ね700m圏に限定されている。vi)歩道の有無や自動車交通などが、高齢者の歩行ルート選定に影響を及ぼしている。 (2)今井町の歴史的まちなみと高齢者の生活の関係性を明らかにするため、高齢者の歩行空間特性を分析し、以下の知見を得た:i)住民の手によって植栽が整備された地区において、特に快適な歩行空間が形成されている。ii)環濠集落という歴史性に起因する側溝のはりめぐらされた空間特性は、景観的魅力を有する一方で、歩行のハードルになっている。iii)町内に生活関連施設が乏しく、買い物などで町外に出る住民が多い。 (3)2年間の研究成果をとりまとめ、地域住民、地元の自治体関係者、地元大学関係者を交えた成果発表会を開催して、今井町における「医学を基礎とするまちづくり」推進の方向性について、以下の通り提言を行った:i)予防医療と亜急性期医療を主な目的とした「まちなか医療拠点」整備。ii)周辺へのアクセス利便性向上と高齢社会に適応した歩行環境向上を基軸とした、歴史的まちなみの改善。iii)高齢者たちの集う場所・新しい見守り形態の確立。4)新型モビリティ導入による生活サービス拠点へのアクセス向上。
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Research Products
(5 results)