2014 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタンクラスターの植物へのドーピングによるバイオアクチベーション概念の創出
Project/Area Number |
25630308
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
藤嶋 昭 東京理科大学, 学長室, 学長 (30078307)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化チタン / 光合成 / バジル / 酸化ストレス / 抗酸化作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
光触媒作用による水分解,二酸化炭素固定化,色素増感太陽電池等の植物の光合成を模倣した技術開発は盛んに行われているが,それらのエネルギー変換効率は未だ植物に及んでいない.そこで,酸化チタンナノ粒子等の光触媒材料を植物にドーピングすることで,植物の模倣ではなく植物自体の活性を向上させることができないかと考えた.本年度は,酸化チタンナノ粒子を懸濁した栽培溶液を用いて,シソ科の多年草であるバジルを育成し,組織内部への酸化チタンナノ粒子の吸収と生体機能への影響を調査した.また,酸化チタンナノ粒子が導入された植物の光触媒活性についても評価した. 酸化チタンは植物栽培用の養液に分散させると平均粒径が小さくても50nmから60nmであることがわかった.バジルを育成したとき,根からは原子数濃度で0.28%のTiを検出し,葉の部分からはおよそ0.02%を検出した.粒径が700nmほどの酸化チタン粒子では根においてもTiはほとんど検出されなかった.Tiの導入が確認された条件において,植物への影響を酸化ストレスを指標として評価した.バジル組織の過酸化水素量をチオバルビツール酸反応法で測定したところ,酸化チタンナノ粒子が導入された植物に紫外線を照射したときのみ,過酸化水素の量は低い値を示した.植物に導入された光触媒に紫外線が照射され,酸化ストレスが抑制された可能性が高い.紫外線照射や光触媒反応により生成した活性酸素種等に対して植物が応答し,抗酸化作用を活性化させたことによると考えられ,光触媒ナノ粒子の導入による植物の抗酸化力の向上が示唆された.
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