2013 Fiscal Year Research-status Report
後方散乱X線トモグラフィによる大型構造物内断層撮像法の実現
Project/Area Number |
25630430
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 賢一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30324461)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非破壊分析 / 後方散乱X線 / 断層撮像 |
Research Abstract |
当該年度は以下に挙げる3項目、1)プロトタイプシステムの構築、2)画像再構成法の検討、3)コンポーネントの最適化について実施した。 1)プロトタイプシステムの構築については、医療用X線撮像装置および専用のX線撮像装置を用いたものについてシステムの構築を進めた。医療用X線撮像装置を用いたシステムとしては、平行平板コリメータおよびフラットパネル検出器を整備し、手動ながらこれらの検出器ユニット移動することで、片側よりX線断層撮像を可能とするシステムを構築し、位置分解能は不十分ながら断層像を得ることに成功した。また、専用のX線撮像装置の導入も進めた。 2)画像再構成法の検討については、Shift-And-ADD(SAA)法、フィルター逆投映法(FBP)、最尤推定期待値最大化法(ML-EM)法について検討を行った。SAA法では、検出器系から離れた場所における視野の広がりを考慮に入れることが困難であるために高分解能画像が得られないことが分かった。また、FBP法では、本手法で得られる投影データの統計的不確かさが大きく、これらに基づく高周波ノイズの影響で多くのアーチファクトが形成されてしまうことがわかった。今回、検討した画像再構成法の中では、ML-EM法が本手法に最も適していることが分かった。 3)コンポーネントの最適化については、基礎実験を通し、本手法で深い深度の場所の画像再構成を行うためには、工夫が必要であることがわかった。そこで、用いるX線のエネルギーに関する検討を進めた結果、高エネルギーX線を用い、この時生成される消滅ガンマ線を用いることで、より深部の情報を取得できる可能性があることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標として挙げていた1)プロトタイプシステムの構築については概ね達成し、2)画像再構成法の検討についても、本手法に対してはML-EM法が有力であることが見い出した。また、3)コンポーネントの最適化についても、使用するX線エネルギーについては検討を進め、全体としては概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、専用のX線撮像装置を用いたシステムの構築を進める。加えて、ペンシルビームスキャン型の後方散乱X線断層撮像法についても検討を進める。また、画質向上を目指し、適切な撮像方向数の検討、使用するX線エネルギーに関する検討、用いるコリメータ形状の検討等を進める予定である。さらに、画像再構成法の検討として、SAA法、FBP法についての更なる検討と、ML-EM法に関する計算時間短縮に関する検討を進める。これらを通し、本システムで得られる画質等の総合性能評価を進める。
|