2014 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱X症候群のmGluR発症仮説におけるArf6経路の新たな役割
Project/Area Number |
25640025
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
阪上 洋行 北里大学, 医学部, 教授 (90261528)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海馬 / スパイン / シナプス後肥厚部 / グルタミン酸受容体 / シナプス可塑性 / 記憶・学習 / 小胞輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
脆弱X症候群の原因遺伝子産物である脆弱X精神遅滞タンパク質(FMRP)は、RNA結合タンパク質として樹状突起でのタンパク質翻訳を調節し、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)を介した長期抑圧の制御などのシナプス可塑性に関与することが知られている。本研究は、FMRPの標的mRNAとして近年報告された小胞輸送を制御する低分子量G蛋白質Arf6の活性制御因子BRAG2に着目し、BRAG2-Arf6経路による長期抑圧の制御機構の解明を目指し以下の研究成果を挙げた。 (1) BRAG2特異抗体を用いた免疫電子顕微鏡解析により、BRAG2は海馬神経細胞のシナプス後肥厚部に豊富に局在することを明らかにした。 (2) BRAG2の結合タンパク質を酵母ツーハイブリット法で探索した結果、シナプス後肥厚部の足場タンパク質であるPSD-95とエンドサイトーシス関連分子であるendophilinを同定した。 (3) BRAG2はC末端のI型PDZ結合モチーフを介してPSD-95と結合し、さらにBRAG2のC末端欠損変異体を用いた発現局在解析により、PSD-95との結合がシナプスへの局在に重要であることを明らかにした。 (4) RNA干渉法によるBRAG2の発現抑制により、海馬初代培養細胞においてグループ1のmGluRの刺激に伴うAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)のシナプスからの取り込みが低下すること、さらにレスキュー実験により、AMPARのシナプスからのmGluR依存的な取り込みにおけるBRAG2とendophilinの相互作用の重要性を明らかにした。以上の結果より、FMRPによるmGluR依存的長期抑圧の制御機構におけるBRAG2-Arf6経路の機能的関与の可能性を提示した。
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Research Products
(15 results)