2013 Fiscal Year Research-status Report
神経伝達物質放出におけるin situ可視化無細胞アッセイ系の開発
Project/Area Number |
25640036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
匂坂 敏朗 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80359843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 泰憲 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30467659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経伝達物質 / シナプス小胞 / 膜融合 |
Research Abstract |
神経伝達の主たる過程は神経伝達物質の放出によって行われている。神経伝達物質は、シナプス小胞が幾つもの連続した素過程を経て、シナプス前膜に超高速で膜融合することで神経終末から放出される。これまで、私共は、SNARE系の活性制御タンパク質であるトモシンがCa2+センサータンパク質シナプトタグミンと結合することにより,シナプトタグミンの膜変形活性を阻害し,神経伝達物質の放出を抑制することを明らかにしている。本年度は、膜変形と膜融合の関係を明らかにするために、リポソームを用いた無細胞アッセイ系の開発に着手し、以下の結果を得た。 1)新しい膜変形タンパク質Arl6IP1を発見した。 2)Arl6IP1の全長タンパク質をリポソームに組込むと、チューブ状に変形した。 3)Arl6IP1のヘアピン型の膜貫通領域が膜変形に重要な働きをした。 4)SNARE系タンパク質全長を組込んだリポソームを作成し、このArl6IP1の変形効果が膜融合に与える効果について検討した。これらのことから、新しい膜変形タンパク質Arl6IP1の同定(Yamamoto et al., Biochem. J. (2014))と膜変形の無細胞アッセイ系の開発に成功した。このように本年度は、膜変形と膜融合について当初の計画とおりの成果をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい膜変形タンパク質Arl6IP1の同定に成功した(Yamamoto et al., Biochem. J. (2014))ことより、おおむね順調に研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した無細胞アッセイ系を用いて、Arl6IP1の膜変形とSNARE系による膜融合の機能関係を明らかにする。得られた知見をもとに神経伝達物質の放出過程の特徴である超高速膜融合を再構成し、神経伝達物質放出の素過程の機能と構造およびその破綻に基づく神経疾患の分子メカニズムを解明する。
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