2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞における生体膜共役輸送系の分子基盤と進化を探る
Project/Area Number |
25650128
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三村 徹郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20174120)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共役輸送 / リン酸 / シャジクモ / ゼニゴケ / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体膜共役輸送系は、栄養物質の取り込みや老廃物の排出に働き、細胞存続の基盤となる輸送系である。共役イオンとしてH+共役型とNa+共役型が知られていて、植物と動物を区別する大きな要素の一つである。陸上高等植物はH+共役型であるが、我々はその祖先植物のシャジクモのリン酸輸送系はNa+共役型であることを報告した。シャジクモのEST データを利用してリン酸輸送体の遺伝子探索を行ったところ、ただ一つの遺伝子が見つかった。本研究では、その全長を決定することに成功し、それは高等植物の細胞膜リン酸輸送体全ての祖先型であることが判明した。このシャジクモリン酸輸送体と高等植物リン酸輸送体の遺伝子解析と、膜輸送体としての生理解析を組み合わせることで、植物細胞における生体膜共役輸送系の分子基盤と進化がどのように成立したかを明らかにすることを目指している。リン酸輸送系遺伝子の系統解析から、シャジクモのリン酸輸送体は、全ての陸上植物の祖先型となり、ミカヅキモやアオミドロの同じ遺伝子と一つのクレードを形成することが明らかとなった。配列情報の解析を行ったところ、H+輸送に必要とされるアミノ酸残基が保存されておらず、Na+共役であることを強く示唆するものであった。また、生理機能の解析を進め、シャジクモ、オーストラリアシャジクモを用いて、放射性リン酸の輸送活性の測定も行ったところ、遺伝子解析に用いたシャジクモもNa+共役型であることが明らかとなった。最初の陸上植物と考えられているゼニゴケについても系統、生理解析を行ったところ、ゼニゴケのリン酸輸送体は陸上植物型で、リン酸輸送はH+共役型であった。現在、分子構造と共役輸送系の関係を明らかにする研究を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Establishment of a shortened annual cycle system; a tool for the analysis 1 of annual re-translocation of phosphorus in the deciduous woody plant (Populus alba L.).2014
Author(s)
Kurita Yuko, Baba Kei’ichi, Ohnishi Miwa, Anegawa Aya, Shichijo Chizuko, Kosuge Keiko, Fukaki Hidehiro, Mimura TetsuroKurita Yuko, Baba Kei’ichi, Ohnishi Miwa, Anegawa Aya, Shichijo Chizuko, Kosuge Keiko, Fukaki Hidehiro, Mimura Tetsuro
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Journal Title
Journal of Plant Research
Volume: 127
Pages: 545-551
DOI
Peer Reviewed
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