2013 Fiscal Year Research-status Report
超高感度FISH法を利用した未知メタン菌の生理・遺伝学的特徴の解明
Project/Area Number |
25650138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
井町 寛之 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (20361933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FISH法 / メタン菌 / mcrA遺伝子 / 生態 |
Research Abstract |
系統分類学的に目や綱といった高い分類階層で既知のメタン菌とは異なる未知メタン菌が存在する環境サンプルを特定するために、mcrA遺伝子に基づいた環境クローン解析を行った。現在までにmcrA遺伝子を特異的に検出するためのPCRプライマーは何種類か報告されている。それら既知のPCRプライマーの中からGenBank等のデータベース上に登録されているすべてのmcrA遺伝子を可能な限りカバーしているプライマーを選択し研究を進めた。サンプルにはメタン生成反応が活発に見られる環境サンプルである、嫌気性排水処理リアクターのメタン発酵汚泥や深海底堆積物等の計6種類を用いた。これらをサンプリングする際には、現場の温度、pHおよび水質データ (栄養塩類の濃度等) を測定した。各環境サンプルからmcrA遺伝子クローンを100個ずつ回収し、mcrA遺伝子に基づいた分子系統解析を分子系等解析ソフトARBを用いて行った。その結果、いくつかのメタン発酵汚泥に既知のメタン菌とは系統分類的に大きく異なる未知メタン菌が含まれることが明らかとなった。 続いて、先の環境クローン解析で検出された未知メタン菌細胞の検出を行うために、そのmcrA遺伝子を標的とした超高感度FISH法を行うためのDNAポリプローブの作成を行った。超高感度FISH法に用いるDNAポリプローブの作成は、未知mcrA遺伝子配列を鋳型としたPCR反応によりdinitrophenyl (DNP) が標識されたdeoxyuridine triphosphate (デオキシウリジン三リン酸: dUTP) DNP-11-dUTPを取り込ませることで作成した。本DNAポリプローブ合成の際には、添加するDNP-11-dUTP濃度、Mg2+濃度とアニーリング温度について検討を行い、高いDNP-11-dUTP取り込み量と収量が得られる条件を探し出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の本年度の計画では、作成したDNAポリプローブを用いた超高感度FISH法により未知メタン菌細胞を光らせるところまで進める予定であったが、細胞壁処理の方法が適切でなかったためか、未知メタン菌細胞を光らせることが今のところできていないため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
超高感度FISH法を用いて未知メタン菌を光らせ、フローサイトメトリーの細胞分取機能を用いて分取する。最低でも数千から数万 (あるいはそれ以上) 個の未知メタン菌細胞を分取し、次のゲノム解析が行えるDNA量を確保する 。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNAポリプローブのDNP-11-dUTPの取り込み量と収量をキャピラリー電気泳動を用いて確認する必要があったが、当初予定していた条件検討の回数よりも大幅に少ない検討で行えたため、電気泳動用のチップ等の消耗品を大量に購入する必要がなくなったために、次年度使用額が生じた。 未使用分はメタン生成菌の細胞壁処理を行うための酵素の購入を予定している。
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