2013 Fiscal Year Research-status Report
ポリフェノールの媒介する新規コレステロール代謝調節系の分子レベルでの解明と応用
Project/Area Number |
25660100
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長岡 利 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50202221)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | EGCG / カテキン / 低密度リポタンパク質受容体 |
Research Abstract |
高い血漿低密度リポタンパク質(LDL)レベルは動脈硬化症等のリスクを増大させることが知られている。LDLレベルは主に肝臓で発現しているLDL受容体(LDLR)により調節されている。そして近年、LDLRタンパク質の分解を促進する因子として Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 (PCSK9)が発見され、血漿LDLレベルに影響を与える新たな因子として注目を集めている。我々は、茶に含まれる主要なポリフェノールであるEpigallocatechin gallate (EGCG)がヒト培養肝臓細胞HepG2において、LDLR mRNAレベルを増加させることを報告した(Br. J. Nutr. 107, 769-773 (2012))が、その作用メカニズムは未だ不明な点が多く、PCSK9に対するEGCGの作用も報告されていない。そこで、本研究ではEGCGによるLDLR mRNAレベル上昇作用の機構解明及びPCSK9に対するEGCGの影響について、HepG2細胞を用いて解析することを目的とした。 その結果、EGCGによるLDLR mRNAレベル上昇作用はERK及びp38経路阻害剤により消失した。EGCGは培地のPCSK9タンパク質レベルを著減させたが、PCSK9 mRNAレベルに減少はなく、阻害剤の影響も見られなかった。EGCGを3、6、12、18時間添加した場合においても、PCSK9 mRNAレベルに減少はなかったが、培地のPCSK9タンパク質はEGCGのすべての添加時間帯で有意に減少した。 以上より、EGCGはERK、p38経路を介してLDLR mRNAレベルを増加させることを発見した。さらに、EGCGは培地のPCSK9タンパク質を短時間で著減させることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択された研究資金が申請時の60%であったので、申請時に計画していた二次元電気泳動に関するプロテオーム解析ができていない状態である。しかし、それに代わり、文献や予備実験で、PCSK9やannexin A2とLDL受容体との関連性が考えられ、現在は、PCSK9がEGCGによるLDL受容体活性化時に顕著に減少するという大変興味深い現象を発見した。従って、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。 PCSK9はLDL受容体の分解を促進するタンパク質である。よって、PCSK9の著減がLDL受容体の活性化と関連する可能性があり、現在、PCSK9の減少の分子機構をLDL受容体活性化との関連性から検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
PCSK9がEGCGによるLDL受容体活性化時に顕著に減少するという大変興味深い現象を発見した。PCSK9はLDL受容体の分解を促進するタンパク質である。よって、PCSK9の著減がLDL受容体の活性化と関連する可能性があり、現在、PCSK9の減少の分子機構をLDL受容体活性化との関連性から検討中である。また、このPCSK9の現象が他のポリフェノールでも観察できるかどうかも検討する方針である。さらに、未知のEGCG受容体(仮説)と考えられるAnnexin A2とLDL受容体との関連性も、Annexin A2抗体やLR67(カテキン受容体)抗体などを用いて検討する計画である。
|
Research Products
(1 results)