2013 Fiscal Year Research-status Report
二枚貝晶稈体を構成する新規タンパク質を活用したバイオリアクターシステム等の開発
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25660167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊原 治彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90183079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 真吾 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30467401)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クリスタルタンパク質 / 晶稈体 / 二枚貝 |
Research Abstract |
ハマグリ、アサリ、ヤマトシジミの晶稈体からクリスタルタンパク質の精製を行った。陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、疎水性クロマトグラフィーなどを組み合わせることで、電気泳動的にほぼ均一に近い標品を得ることができた。精製クリスタルタンパク質は2本のメジャーバンドを示した。精製したクリスタルタンパク質を酵素分解し、得られたアミノ酸配列(EQSPTEF)をもとに特異的プライマー(5’-dGARCARTCNCCNACNGARTT; R=A or G, N=A, C, G, or T 5’)を合成した。得られたPCR産物をもとに、5’側プライマーとしてGTCGTAGCTTGAAAGCGTAAGGACCTTC を用いてさらにPCRを行った。その結果、1692bpのcDNAを得ることができた。このcDNAは563アミノ酸からなるタンパク質をコードすると演繹された。EQSPTEFをこの内部に見出すことことができたこと、翻訳開始に必要なコザック配列 RNNATGN (R=A or G) を含んでいたことから、このcDNAは機能的なクリスタルタンパク質をコードすると判断された。興味深いことにクリスタルタンパク質のアミノ酸配列はパーフォリンと呼ばれる膜攻撃タンパク質と高い相同性を示した。特にウニから得られているアペキシトリンという毒タンパク質との相同性が高かった。これらの結果は、クリスタルタンパク質が無脊椎動物において様々な機能を担うタンパク質に分化していることを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標はクリスタルタンパク質の構造機能解析であったが、予定通り遺伝子のクローニングを行うことができ、1692bpのcDNAを得ることができた。このcDNAは563アミノ酸からなるタンパク質をコードすると演繹された。EQSPTEFをこの内部に見出すことことができたこと、翻訳開始に必要なコザック配列 RNNATGN (R=A or G) を含んでいたことから、このcDNAは機能的なクリスタルタンパク質をコードすると判断された。相同性検索の結果、バクテリアなどの細胞膜を貫通させる機能をもつタンパク質と相同なドメインを持つことを明らかにすることができ、当初の目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
クリスタルタンパク質がパーフォリンなどの膜貫通タンパク質と相同なドメイン構造を持つことは、クリスタルタンパク質が疎水性構造と親和性をもつ可能性を示唆していた。今後は、このドメインに注目し、種々の蛋白と相互作用を有する機能(マルチドメイン機能)を組換えタンパク質を用いてて明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
天候不順のため、予定通り二枚貝の採集が進まなかったため。 天候をみて、採集を進める予定である。
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