2013 Fiscal Year Research-status Report
ラオス南部少数民族の水田漁労をベースとした「参加型/支援型」地域社会開発
Project/Area Number |
25660184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水田漁労 / 環境保全 / 少数民族 / ラオス南部 / アタプー県 / 地域社会開発 / 養殖池 |
Research Abstract |
途上国の開発においても環境への配慮が不可欠だが、ラオスの幾つかの少数民族は環境保全型で持続可能な「水田漁労」という生業を伝統的に行ってきた。本研究はこの「水田漁労」を起爆剤としてラオスの開発、すなわち住民の生活水準の向上と貧困解消や他民族との格差是正の可能性を探るものである。具体的には、第1に、ラオス南部で「水田漁労」を行ってきた少数民族の詳細な分布と「水田漁労」の消長に関する歴史的経緯と因果関係を明らかにする。第2に、オイ族を事例としてこの「水田漁労」や応用的な養殖池などをベースとした「参加型/支援型」地域社会開発を行ない、彼らの生活水準の向上と貧困解消やラオ族との格差是正の可能性について検討するものである。 本研究の対象地域である、ラオス南部ボーラベン高原を取り巻く地域(チャンパサック県・セコン県・アタプー県)を平成25年8-9月と平成26年3月に訪れ、県の各部署から可能な限り村落の地図や情報を手に入れる一方、第1の目的である「水田漁労」分布と消長に関する歴史的経緯と因果関係を明らかにするために村落の訪問を開始した。その一方で、第2の目的のために、これまでから健康調査の対象としてきたアタプー県のオイ族のソムスック村で、世帯別に「水田漁労」に関する詳細な調査を行い、また近年始まった養殖池に関する資料も得た。しかし、最近急にベトナム資本によるプランテーション開発の波が押し寄せたため、対象地を同じオイ族のラニャオ村に変更し、この村の2か所で養殖池の導入を試みて、それによる経済効果・栄養改善効果などを継続的に検討することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)対象地域が広いため、2度の訪問ではまだ十分にエリアをカバーしきれていない。 2)また、当初集中調査の対象としていた村落に別の大規模な開発の影響がみられたため、対象村落を変更せざるを得なくなった。そのため、養殖池などの導入が当初の予定よりも遅れた。 以上2つののマイナス要因があったため、当初の通りとはいかないが、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年中に2・3度(7月・9月・12月)に調査地域を訪れ、上記の2つの目的を完遂する予定である。第1の目的である「水田漁労」の分布と消長の歴史的経緯と因果関係については現在中間的なまとめを行っており、9月にラオスで行われる国際社会学会で発表し、またその時期に合わせて補完調査を行う予定である。第2の目的である「水田漁労」と養殖池導入の経済効果・栄養改善効果については、現在もラニャオ村の2か所で携帯電話やメール交信で継続観察中であり、本年訪れたときには量的データを集中的にとり、結論を出す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は物品費(地図・本・コピーなど)とその他(会議費・車の借料など)の費用を使用しなかったことになっているが、実際は別のプロジェクトの分担で捻出した。それ以外はほとんど予定通りに使用した。 本年度は昨年度のような分担金がないので、昨年度残した金額を上記の事柄に有効に使用したいと考えている。
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