2014 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス南部少数民族の水田漁労をベースとした「参加型/支援型」地域社会開発
Project/Area Number |
25660184
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水田漁労 / 養殖池 / 参加型開発 / 支援型開発 / ラオス / 少数民族 / 格差是正 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジアの最貧国の1つラオスでは、国民所得や生活水準を上げると同時に、ラオ族と少数民族との格差を是正する開発を行うことが重要課題となっている。本研究では南部オイ族などの少数民族が伝統的に行ってきた、水田漁労や養殖池を起爆剤とした参加型/支援型地域社会開発の可能性を検討した。対象としたのは南部アタプー県ラニャオヌア村で養殖をする2つのグループ(1つは女性のグループ、1つは村の有力者個人)に1)養魚池の改修、2)数百匹の稚魚とそれを成長させるための餌をそれぞれ2回ずつ提供し、村内消費用だけでない魚の生産拡大や、県都のマーケットで販売する販売戦略が立てられる可能性と、彼らの所得変動を観察した。 その結果、女性のグループでは責任者不在のまま飼育技術の取得に苦慮し、2回とも稚魚が無駄になったため、村内の水田で自然に飼育されている数種類の魚を養殖池で同時に飼育する方向に転換した。もう1つの村の有力者では、1度目は試行錯誤で稚魚200匹位が20cmになったところで、一部自家消費したのち、残りを全て村の行事に供してしまった。2度目は3ヶ月かけて大多数を十分販売可能な大きさ(30cm程度)に育て、活魚のまま20km先の県のマーケットで11kgを売り上げた。しかし、養殖の元が取れたことに満足し、それ以上養殖魚を売らなかった。だが、彼は養殖と販売に大きな自信を得た。 以上の観察結果の反省点として、1)魚種選定に当たり、マーケットで高価な魚種には繊細な飼育技術が必要だがそれを試みる価値が有る。2)比較的飼育が簡単なナマズ系の魚についても、近隣の専門技術者に応援を頼むべきだった。3)村内の行事や人間関係を理解していないと、せっかく育てた養殖魚もマーケットには行かず、村内消費に回される。4)養殖魚を拡大再生産して所得を増やすまでには至らず、したがって、養殖による所得増加と栄養改善との関係については今後の課題となった。
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Research Products
(2 results)