2013 Fiscal Year Research-status Report
PRRS感染耐過ブタ由来ファージ抗体ライブラリを用いた中和エピトープの探索
Project/Area Number |
25660226
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五十嵐 樹彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90467431)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ウイルス / ブタ / ワクチン / 抗体 / ファージディスプレイ / 中和 / ライブラリー |
Research Abstract |
ブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は現在、養豚業に最も甚大な経済的被害をもたらしているウイルス性疾患である。妊娠豚及び肥育豚が本ウイルス感染すると繁殖障害、間質性肺炎を伴う発育不良等重篤な病態を呈するが、成豚では呼吸器症状を呈するものの、耐過する事が知られている。また、感染耐過個体から調製した抗体の受身免疫で感染防御可能な事も知られている。感染耐過個体が誘導する抗体を詳細に解析する事でより有効なPRRS抗ワクチンの免疫原を同定するため、耐過個体からファージディスプレイ法による抗体ライブラリーを作製する事を目的とした。 弱毒化PRRSウイルスを免疫後、野性型ウイルスの攻撃接種を制御した個体から脾臓、リンパ節細胞及び白血球を調製し、そこから総RNAを抽出した。抗体分子重鎖及び軽鎖可変域をコードするDNA断片をPCR法により増幅、リンカー配列を介して直鎖状に連結した分子を合成した。現在、この分子をファージミドベクターに組み込みライブラリーを作製中である。 このライブラリーからウイルス粒子抗原に結合する性質を持つ分子を第一段選抜し、次いでウイルス感染性を中和する性質を持つ分子を選抜する。この分子が認識する抗原決定基を同定する事で、個体感染の文脈においてウイルス複製抑制に真に有用な免疫原を明らかに出来る。この免疫原をワクチンに用いる事で、生ワクチン接種における潜在的問題であるワクチン株の持続感染及び病原性復帰変異の心配のないワクチン開発への道が開かれると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗体分子重鎖および軽鎖可変領域をクローニングするにあたり、米国スクリプス研究所が開発したファージミドベクターの分与を受け本研究に用いる予定であったが、授受契約の際に行き違いがあり、入手までに予想以上に時間を要した、現在までに授受契約は締結され、ベクターも入手したので、25年度の遅れを取り戻すべく鋭意クローニングを行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定通りファージディスプレイ法による抗体ライブラリーを構築、抗ウイルス抗体の選抜、更にウイルス中和活性の検索を通して、感染耐過個体で誘導される「機能的」抗体及びそれらの認識する抗原決定基を同定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画では感染耐過ブタのリンパ球より抗体軽鎖および重鎖可変領域遺伝子を増幅、リンカーDNAで結合したscFvをファージミドベクターに組み込んで抗体ライブラリーを確立する事がその後の研究遂行のために必須である。 ファージミドベクターは米国スクリプス研究所から分与を受けたが、分与契約(MTA)締結プロセスが研究代表者の予想を大幅に超え停滞した。最終的にベクターは分与されたが、約8ヶ月の遅れが生じた。これにより研究計画の進行が遅れたため、当初予定した試薬類の購入が遅延した。 既にファージミドベクターは入手したので当初の計画で予定していた必要な試薬の購入に充て、計画を推進する。
|