2015 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクト・リプログラミングによる皮膚繊維芽細胞から血液細胞への分化誘導
Project/Area Number |
25660245
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
久末 正晴 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (80333144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 亮 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30188586)
鳩谷 晋吾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (40453138)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 犬 / 繊維芽細胞 / iPS / レンチウイルス / CD45 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌ皮膚繊維芽細胞を分離・培養してレンチウイルスベクターを用いて、Oct4を導入し、KSR、グルタミンおよびβ-Mercaptoethanolを添加した培地にて、まずCD45陽性細胞群への分化誘導を行うことを目的とした。特に、成犬個体からの分化誘導できる適切な条件検討を主眼としてその条件を模索した。また、同時に造血細胞の分化能を検討するため犬骨髄組織を採取し、メチルセルロース寒天培地およびmethylcellulose mediumにてコロニーフォーミングアッセイの適切な条件検討を行った。健常犬から麻酔下にて皮膚組織を採取し細断の後に10%FBS添加DMEMにて培養を行った。2ないし3週間後に培養細胞を回収し線維芽細胞を分離した。その結果、DMEMにて線維芽細胞をイヌ皮膚線維芽細胞を採材、分離し、10%FBS加DMEM培地で培養した。Oct4組み換えレンチウイルスベクターを作製し、線維芽細胞へ感染させ、Oct4の導入を行った。形態学的変化の観察、定性的および定量的RT-PCRを用いて遺伝子発現の検討、さらにアルカリフォスファターゼ染色によって形成されたコロニーの多能性の評価を行った。 感染からday6でiPS様のコロニーが、day15で島状に球形の細胞集団が多数認められ、day18ではコロニーを囲うように球形の細胞が著しく増加した。また、形成されたコロニーにアルカリホスファターゼ染色を行ったところ、強く茶褐色に染色され、多能性を持つことが示唆された。また、定性的および定量的RT-PCRではすべてのdayで導入Oct4の発現が認められ、day14、day21ではCD45の高発現が認められた。イヌ皮膚線維芽細胞にただ1つの遺伝子Oct4を導入することで、CD45陽性細胞を分化させることに成功した。この細胞に様々なサイトカインを加えて培養することで、白血球、赤血球、血小板などの血液細胞に分化できる可能性が大いに期待される。
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