2014 Fiscal Year Research-status Report
Wolbachiaによる宿主へのRNAウイルス抵抗性誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
25660262
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大手 学 東北大学, 生命科学研究科, 研究支援者 (20386717)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ボルバキア / ウイルス / ショウジョウバエ / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
共生細菌ボルバキアが誘導する、宿主のRNAウイルス抵抗性上昇に関わる宿主のタンパク質の同定を目指した。Serbusらによって、ショウジョウバエにおいてボルバキアとP bodyが共局在すること、P body構成因子の変異体においてはボルバキアの数が減少していることが報告されている。P bodyはRNA結合タンパク質の複合体であることから、SerbusらはボルバキアがRNA結合タンパク質を標的としてRNAウイルスと相互作用しているという仮説を立てている。 Serbusらによる生殖細胞での報告と同様に、体細胞においても複数のRNA結合タンパク質との共局在が確認できた。そのうち、RNAウイルスの増殖に関わるものを探索した。その結果、他の生物でRNAウイルスの増殖に関わることが広く知られているme31B遺伝子をRNAiによりノックダウンしたショウジョウバエ個体においてRNAウイルスの増殖が抑制されることが分かった。また、me31B遺伝子の変異をヘテロ接合で持つ個体においてもRNAウイルスの増殖は抑えられ、ウイルス感染後の生存率が上昇した。me31Bの変異はDNAウイルスの増殖には影響を与えなかった。また、me31B遺伝子を4コピー持つ個体ではRNAウイルス量が増加し、ウイルス感染後の生存率が低下した。 生化学的な実験により、Me31BはウイルスのゲノムRNAと結合していることがわかった。また、Me31Bと結合するウイルスRNAの量がボルバキア感染個体では低下していた。以上のことから、ボルバキアはMe31Bの機能を低下させることによりRNAウイルスの増殖を抑制している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボルバキアとRNAウイルスとの相互作用に関わると思われる宿主分子を同定したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ボルバキアがMe31Bの機能を低下させているか否かを生化学的な実験により、より詳細に検証する。
|