2014 Fiscal Year Research-status Report
アジアツムギアリを用いた生物多様性管理:個体群動態と素数の巣の謎
Project/Area Number |
25660266
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 正氣 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (30145453) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物的防除 / アリ / アブラヤシ / 個体群動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
アブラヤシの生産拡大は近年における熱帯林減少の主要因であるが、環境への影響懸念はそれだけに留まらない。そこでの農薬多用が地域の生物多様性に与える影響が計り知れないからだ。本研究の長期的な目的はアブラヤシ上に巣を構築するアジアツムギアリを害虫防除資材(在来捕食者)として用い、低コスト生産と環境保全を両立の可能性を科学的に探究することである。もしツムギアリを用いた減農薬栽培法が確立されれば、アブラヤシ園自体を部分的にではあれ地域の生物多様性の避難場所にできるかもしれないからである。本年度は減農薬アブラヤシ園におけるアリ群集のモニタリング調査を実施した。樹上に葉意外な程多くのアリ種がツムギアリの近くに共存している事が明らかになった。今後は自然林との比較を行う予定である。また他の系では困難なアリ類における厳密な野外個体群動態の世界初のデータ収集を行うための方法論を昨年度までに確立したが(巣の数から単純回帰式で個体群ワーカー密度を推定できる)、今回は初回の密度推定を行った。今後天敵を用いた総合的害虫管理と血縁淘汰理論の前提となる真社会性である本種個体群の密度依存的制御の検証を試みる。樹当たりのアリの巣数の厳密な調査は現在の調査地ではアブラヤシが大きすぎることもあり困難を極めているが、今後適度なサイズのアブラヤシが植栽される場所を探す予定である。また2015度のマレーシア調査の旅費の大半はマラヤ大学負担となった。来年度はマラヤ大学の研究者を日本に招聘し議論する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ツムギアリの個体群動態と群集モニタリングに関する項目は概ね順調に進んでいる。しかし、樹1本当たりに存在する巣の数の厳密な測定は現在困難を極めている。理由はいろいろあるが、たとえばアリに現在使われている巣かどうかは近づいてみないと分からないが、アブラヤシの木が大きいの場合は葉が高所にあるため接近が困難などである。そこで今後は比較的小さなサイズのアブラヤシが植栽されたプランテーションを対象に調査をしようと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおりである。
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Causes of Carryover |
今年度のマーレシア調査の旅費の一部が,カウンターパートの事情によりマレーシア側(マラヤ大学)負担となったため、旅費の執行額を予定より大幅に抑えることができた。その分は2015年度に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は旅費の一部をカウンターパート研究者を日本に招聘し議論を深めるために使用する。
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Research Products
(14 results)