2014 Fiscal Year Annual Research Report
ドメインエンジニアリングを活用した動物細胞での革新的タンパク質生産法の開発
Project/Area Number |
25660295
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 誠司 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (20260614)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | mRNA / 核外輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞を用いて生産したタンパク質は、医薬品や研究用試薬として製薬業界やバイオ産業界において大きな需要を持つ。しかし動物細胞での生産性は低く、画期的な生産法の開発が期待されている。このような状況の中、申請者は動物細胞におけるタンパク質生産の律速段階がmRNAの核から細胞質への輸送(核外輸送)段階であることを発見した。そこでmRNAの核外輸送受容体TapとMS2コートタンパク質を用いて第1世代の標的mRNA専用輸送体を創出し、従来の発現系の5倍の効率でタンパク質を生産することに成功した。本研究は、TapおよびMS2コートタンパク質それぞれの機能に必須な部分のみを取りだし、自由に組み合わせる「ドメインエンジニアリング」技術を用いて、第2世代mRNA輸送体を創成する。これにより革新的な動物細胞生産系を開発する。本研究の成果は、ドメインエンジニアリング技術を用いて様々なタンパク質のドメインを新たなバイオロジーの材料として活用し、基礎研究や産業利用に役立つ分子の設計研究に展開する基盤となる。 mRNA輸送体Tapの領域を切り貼りして様々な欠損変異体を作製し、MS2コートタンパク質を融合した融合タンパク質を作製した。これを医薬品タンパク質の生産で最も良く用いられているCHO細胞や基礎研究で汎用されるヒトHEK293細胞で検証した。作製した10種類の変異型Tapタンパク質とMS2コートタンパク質を融合した融合タンパク質は、野生型のTapとMS2コートタンパク質を融合した融合タンパク質よりもタンパク質生産性が向上した。加えて、これら変異型タンパク質の発現部位が核内である事を示した。これらの結果から、変異型タンパク質は、タンパク質生産において野生型よりも効果の高いことがわかった。
|