2013 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞の機能制御におけるミトコンドリア融合阻害の意義
Project/Area Number |
25670038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10335367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 淳司 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (40454649)
馬場 明道 兵庫医療大学, その他部局等, その他 (70107100)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリア動態 / 神経細胞 / 細胞分化 / 細胞死 / 発現制御 / プロモーター / ライブイメージング系 |
Research Abstract |
本研究では、ミトコンドリアの融合を阻害する新規因子として代表者らが同定した Mitochondrial Innermembrane Fusion Inhibitor (MIFI, ミトコンドリア内膜融合阻害因子)の神経系細胞における機能解析を通じて、神経の発達/細胞死制御におけるミトコンドリアの融合阻害の意義解明や、神経変性疾患領域におけるMIFIの創薬標的化を目標として実施し、平成25年度は以下の結果を得た。 1. ドパミン性神経細胞株SH-SY5Yを用いた検討から、MIFIの過剰発現によって同細胞のミトコンドリア形態が断片化することを確認した。また初代培養アストロサイトへの過剰発現でも同様の作用が認められることを確認した。 2. In vitro神経分化モデルでMIFIの発現解析を行った結果、MIFIの発現は神経幹細胞から神経細胞への分化に先だって増加し、その後、高発現が維持されることを明らかにした。 3. マウスおよびヒトMIFI遺伝子の転写に関わるプロモーター領域を同定した。また、ミトコンドリア蛋白の発現促進作用が知られるPGC-1αによって、MIFIの転写が制御される可能性をin vitroおよびin vivoで示した。 4. FlAsHシステムを用いることで、MIFIの細胞内動態をリアルタイムで解析できるライブイメージング系の確立を達成した。また同実験系での検討から、MIFIは同分子によるミトコンドリアの断片化作用に先だって、糸状のミトコンドリア内でクラスタリングすることが明らかになった。 5. MIFIによるマイトファジーや酸化ストレスの制御に関するいくつかの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、これまでHela細胞等で確認されているMIFIの機能が神経系由来の細胞株であるSH-SY5Y細胞で確認できたこと、MIFIの機能解析において極めて重要となるライブイメージング系が確立できたことは、本研究が順調に進展していることを示す。ノックアウトマウスの創出が達成されていないことは本研究の遅れを示すが、その一方でMIFIの神経系における発現に加え、その制御機構の一端を明らかにできたこと等は計画以上の進展といえる。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度構築したMIFIのライブイメージング系、および発現制御機構解析系を用い、神経細胞死制御におけるMIFIの機能解析を行うとともに、新たな計画として、MIFI mRNAの発現調節化合物の同定を行う。またMIFIのノックアウトマウスの創出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MIFIの遺伝子欠損マウスの創出が本年度中に達成できなかったため。 主としてMIFIの遺伝子欠損マウスの作製に用いる。
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