2014 Fiscal Year Research-status Report
薬物の副作用低減のための非侵襲的薬物代謝酵素活性推定法の開発
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25670077
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
片桐 昌直 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00185802)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CYP / ステロイド代謝 / 薬物代謝 / コルチソール |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず昨年度確定できなかったCYP3A4のLyase活性の確認を反応行った。具体的には、CYP3A4と17α-OH-Progesteroneとを反応させた後、酢酸エチルで抽出し、窒素ガスで乾固した。抽出された反応物をトリメチルシリル化等を行い、ガスクロマトグラフィー-質量分析により分析を行い、Lyase活性による生成物であるAndrostendioneの生成を市販品との比較により確認した。次に、13種類のヒト・肝臓・CYPについて、11-DeoxycroticosteroneとCorticosoteroneに対する17α水酸化活性について、高速液体クロマトグラフ上の市販品(11-DeoxycortisolとCortisol)との保持時間の比較により検討を行った。その結果、すべてのCYPで、17α位の水酸化活性は見られなかった。しかしながら、CYP3A4に関しては、6β位の水酸化物と思われるピークが見られた。しかしながら11-DeoxycroticosteroneとCorticosoteroneの6β水酸化物は市販されていなかったため、市販品の入手可能な6β水酸化cortisolを用い、Cortisolに対する6β水酸化の検討を行った。6β水酸化活性が見られたのはCYP3A4のみであった。この活性は従来から知られていた活性でああったが、その酵素反応速度論的パラメータは報告されていなかったため、今回二十逆数プロットを用い求めたところ、Vmax=3.50 nmol/min/nmol P450、 Km=17.1 μmpl/Lが得られた。また、CYP3A4については、11-Deoxycortisolについても6β水酸化物であろうと思われる比較的大きなピークがみられ、6β水酸化活性を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、各種ヒト・肝臓・CYPの活性を、尿中のステロイド代謝物の定量値から推定する方法を開発し、ヒトにおける薬物代謝の個人差に由来する副作用発現の軽減に資するものである。今年度の結果より、各種ステロイドに対する6β水酸化活性が、CYP3A4特異的な活性であることが明らかにされた。現在、既にCortisolについては、尿中6β水酸化Cortisolの定量の有用性が報告されているが、その酵素反応速度論的検証はされておらず、今回検討を行った。今後の他のステロイドに対する6β水酸化活性に対する酵素反応速度論的パラメータを明らにすることでより正確な予測が可能となるもと思われる。従って、上記判断が妥当であると思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
CYP3A4については、今後、市販されていない、11-DeoxycroticosteroneとCorticosoterone、11-Deoxycortisolの6β水酸化物の合成を試み、得られた合成品を用い、それぞれを基質とした場合の6β水酸化活性の酵素反応速度論パラメータを求め、CYP3A4活性の推定方法の検討を行いたい。また、明らになったCYP3A4のLyase活性は、17位への酵素の反応であり、今回の6β位とは全く異なった位置になり、この両活性の関係も速度論的マラーメータの比較と既に報告されているCYP3A4の立体構造を用い明らかにしたい。また、これまのでところ、他のCYPに関して位置特異的反応は、弱い活性が2,3のCYPについて見られているので、これらの活性についてより詳しい検討を行い、活性の推定への応用の検討を行いたい。一方、副腎CYPであるCYP17等がこれらの活性を有していないことの確認も行いたい。また、引き続き生体内に存在する他のステロイドに対する活性の検討も行う予定である。
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