2013 Fiscal Year Research-status Report
炎症関連遺伝子修飾からみた運動と5-アミノレブリン酸の併用効果
Project/Area Number |
25670117
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
能勢 博 信州大学, 医学系研究科, 教授 (40128715)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | スポーツ生理学 / 運動生理学 / 好気的運動能 / メチル化 / ALA |
Research Abstract |
最近、生活習慣病、うつ病、認知症、がんの発症メカニズムについて、運動不足に起因する慢性炎症が指摘されている。さらに、その慢性炎症発症メカニズムについて、ミトコンドリアの機能低下による筋肉とその他の臓器から分泌されるサイトカインによって引き起こされる、という説が有力である。したがって、もし、運動によらなくても、ミトコンドリアの機能を亢進する補助食品があれば、これらの疾患の予防・治療に効果があると考えられる。 ところで、5-アミノレブリン酸(ALA)は、ミトコンドリアの電子伝達系のコンプレックスIVの成分であることから、これを含む補助食品は、ミトコンドリア機能の改善に効果があることが、動物実験、in vitro実験で指摘されてきた。 そこで、生活習慣病+うつ症状を呈する中高年女性6名について、1週間のALAまたはプラセボ摂取+インターバル速歩トレーニングの介入を行い、その間のトレーニング実施率を測定し、さらに、その前後で持久力測定を実施した。その後、1週間の非介入期間をおいて、再度、同様の介入を行った。その際、最初の介入でALAを摂取したものはプラセボ、プラセボを摂取したものはALAを摂取させた。したがって、実験は二重盲検、クロスオーバー方式で行った。 その結果、ALA摂取条件ではプラセボ摂取条件に比べ、介入期間中の運動の実施率の向上、MADRSによるうつ症状の改善が見られた。以上の結果は、ALAには、体内の炎症反応を抑制し、うつ症状をを改善する効果がある、という考えを支持する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動不足による全身の炎症反応がうつ症状引き起こすという仮説に基づいて、生活習慣病とうつ症状を併発する患者さんに、ALA(プラセボ)+インターバル速歩トレーニングを実施させた。その結果、6名の被験者について、ALA摂取条件で運動実施率の向上、うつ症状が改善する効果が示唆されたことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、被験者の人数を増やし、ALAの効果について、持久力(好気的運動能)との関連を踏まえ、解析する予定である。さらに、うつ患者に加えて、要介護1,2レベルの後期高齢者についても、ALAの摂取効果を検証し、その際、炎症を促進する遺伝子のメチル化についても測定する。 以上の結果から、ミトコンドリアの機能亢進は、運動トレーニング導入困難な、うつ病患者、体力的に虚弱な高齢者に有効であることを立証する。
|