2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 病理学 / 再生医療 / 遺伝子 / ips化 / 初期化 / Tsc遺伝子 |
Research Abstract |
平成25年度は、Ekerラットの胎児線維芽細胞からのiPS細胞樹立を行なった。Ekerラットの胎児を、胎生12.5日で摘出し、線維芽細胞を初代培養した。各々に対し遺伝子型をRT-PCR法を用いて解析し、Tsc2+/+,Tsc2+/-,Tsc2-/-全ての遺伝子型の胎児線維芽細胞を用いて、iPS細胞の樹立を試みた。 Takahashiらの方法(Takahashi K.et al.Cell.2007)に準じて、レトロウイルスベクターを用いて、山中4因子(OCT3/4,SOX2,Klf4,c-MYC)をEkerラットの線維芽細胞に導入した。2i法を用いてこれらを培養し、iPS様のコロニーの出現を観察し得た。このコロニーを単離培養し、継代を行なった。Tsc2+/+に比べ、Tsc2-/-の方がコロニーの出現速度が速く、増殖も早い傾向にあった。 多能性を証明する為、アルカリフォスファターゼ染色を行ない、陽性であることが確認できた。さらにRT―PCR法にて、iPS細胞の未分化マーカー(OCT3/4, Nanog, SOX2,Klf-4)の発現を確認したところ、Nanogだけが陰性であり、多能性が不十分であると考えられた。さらに、分化能を確認するため胚葉体形成実験を行なったところ、胚様体は形成されるが、RT-PCR法において、分化マーカーのNestin, Sox17は陽性であるものの、Flk1は陰性であり、分化能についても不十分であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、線維芽細胞からのiPS様細胞樹立について、一定の成果を得ており、Tsc2-/-細胞において不完全なリプログラミングが生ずる可能性を示すことが確認できた。Tsc2欠損腫瘍をモデルとし、腫瘍抑制遺伝子変異とリプログラミングの分子機構の関連を調べる上で、本実験系が有用であることが確信された。Ekerラットの系統を用いたiPS化の効率についてはまだ改善の余地があり、今後さらに進展を図ることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のiPS細胞のプロトコールを、阻害剤の投与タイミングなどを検討し、線維芽細胞からのiPS細胞樹立を確立させる。その後、Ekerラットの腎癌の細胞株を用いて、同様にiPS化を試みる。さらに、Ekerラットの腎癌から直接細胞を採取し、こちらもiPS細胞を試みる。
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Research Products
(4 results)