2013 Fiscal Year Research-status Report
患者再現VTRを利用したPBLテュートリアルの有用性に関する研究
Project/Area Number |
25670242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
生坂 政臣 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (20308406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 善之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30400980)
野田 和敬 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50456076)
鋪野 紀好 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10624009)
塚本 知子 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30456074)
鈴木 慎吾 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60598697)
上原 孝紀 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60527919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Problem based learning / テュートリアル / 患者再現VTR / 総合診療医ドクターG |
Research Abstract |
PBLテュートリアルは、講義の知識を参加型臨床実習で応用できる知識に昇華させる授業として重要であるが、医学部教員は領域別専門医が大多数を占めているため、作成される課題シナリオから抽出される問題が当該領域に限定されがちである。そこで、従来のペーパーベースの病歴部分を、NHK「総合診療医ドクターG」の患者再現VTRで置き換えたPBLテュートリアルが、実臨床で必要となる心理・社会・倫理面まで含めた幅広い領域での臨床推論を学生に展開させる方略として有用か否かを、PBLの一般的な到達目標と併せて検証した。 本事業の本年度の対象者は、平成26年1月から3月まで千葉大学医学部附属病院総合診療部(当部)をクリニカルクラークシップでローテートする毎週4~5人ずつの医学部5年生のグループで、本研究への参加に同意を得られた者とした。各グループの学生は、1週目と2週目のそれぞれ2日間を使い、paper-patient型 PBLと再現VTR型 PBLの両方を交互に受講する。当部教室員である4名がテューターとなり、コアタイム中にあげられた鑑別疾患数、および抽出された問題の多様性(生物・心理・社会・倫理)が記録されたホワイドボードから関連情報を抽出し、paper-patient型 PBLと再現VTR 型PBLとで比較検討した。 本年3月までに施行することができた22名の学生に対する予備調査結果では、鑑別疾患数や問題の多様性に、2つのPBLの様式による差は見られなかった一方で、臨床推論のプロセスを訓練できた、自立的学習法が身についた、学習意欲が高まった、患者の心理や背景なども含めて多方面からアプローチ出来た、全体としての満足度は再現VTR 型PBLの方が高い傾向にあり、一部で有意差を認めた。4月以降、残りの約100名の学生に対して研究を継続し、結果をシンガポールでの国際教育学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画は、4年生に対して施行されるPBLテュートリアルの課題を、テューター1人あたり2課題の授業を担当する領域毎の専門医が担当し、そのうち1課題を従来通りのペーパーベースで作成し、残りの1課題の病歴部分を患者再現VTRに置き換えて作成する予定であったが、本年度よりテューター負担軽減とより深い討論を促すために、テュートリアルの授業方針が変更され、各テューターの課題作成は1題のみとなった。同一のテューターによって2つの異なるPBLテュートリアルを比較する必要があるため、対応策として授業科目としてのPBLテュートリアルとは別に、総合診療部にローテイトするクリニカルクラークシップの学生を対象に本研究を行うこととした。この変更により、同一のテューターによる評価が可能となっただけでなく、テュートリアルの授業開始である4月下旬を待たずに、本研究の予備調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
テュートリアルコアタイム中の討論の録音テープから抽出された鑑別数とその多様性測定する予定であったが、作業時間が不足したため、ホワイトボードに記録された情報からの抽出となった。このため、予備調査の結果は、実際の討論で出された鑑別や多様性を過小評価した可能性がある。作業時間を現状レベルにおさえ、かつ情報の取りこぼしをさけるために、平成26年度はコンピューターソフトを用いた録音データのテキストマイニングを利用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ホワイトボード記録用のデジタルカメラの購入価格が購入予定価格を下回ったため。 消耗品費に充当予定。
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