2014 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド性分子治療を目指したがん抑制遺伝子機能回復型抗腫瘍ペプチド創成への挑戦
Project/Area Number |
25670263
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
近藤 英作 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30252951)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペプチド / 癌抑制遺伝子 / p14ARF / 分子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物学的に高悪性度の難治性悪性腫瘍では、高頻度にがん抑制遺伝子機能の喪失が認められ、これががんの自律性増殖の大きな要因となっている。このようながん抑制遺伝子の代表のひとつとしてp14ARFが知られている。私たちは最近の研究成果で、p14ARFのがん細胞増殖抑制機能を代償性に回復する重要アミノ酸配列を同定した。本研究ではこの成果をもとに生体応用に向けた抗腫瘍性p14ARFの最適デザイン化を行い、新規“制がんペプチド医薬”の基盤創成を目的とした。初年度はp14ARF機能性ペプチドの削り込みによるコア配列の明確な同定と機能増強のための構造改変技術の検討した(p14ARF機能性ペプチドの最適デザイン化)。結果として、準備研究で得ていたp14機能回復型の全27アミノ酸配列から12アミノ酸コア配列を同定し、さらにがん細胞内でのみ機能性ペプチド配列を単独型に開裂させるクリベージモチーフの挿入に成功し、最終機能型ペプチドr9-CB-p14MISを獲得した。さらに最終年度(第2年目)は、腫瘍選択的標的を可能とする制がん用ペプチドとして担癌モデルマウスを用いた基本実験による実効的なペプチドの抗腫瘍効果を確認できた。(細胞レベルアッセイから生体腫瘍モデルアッセイの実施による検証。) 本研究期間を通じてin vivo studyによるトランスレーショナル研究として以下の2点が基盤的に実証できた。 1.私たちの同定したp14ARFの機能性基本配列は、p14発現を維持する正常細胞系への影響が最小限におさえられ、正常細胞に対する増殖抑制や細胞死誘導がほとんど見られない点で治療用分子として卓越している。 2.p14ARFの不活化は、p53やp16INK4a, p21CIP1などと同様に、多種類のヒト高悪性度腫瘍で起こっているために、当開発ペプチドは多系統のがんに幅広い応用性が期待できる。
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