2015 Fiscal Year Annual Research Report
らい菌の鼻粘膜上皮細胞への侵入に係る分子機構を標的とした感染防御ワクチンの開発
Project/Area Number |
25670505
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤村 響男 北里大学, 医学部, 講師 (50209087)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | らい菌 / 感染防御ワクチン / 抗mce抗体 / らい菌侵入抑制 / mce蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンセン病は日本においては過去の疾患となりつつあるが、世界的には依然として毎年25万人が発症しており、有効な感染防御ワクチンの開発が望まれている。我々はこれまで、らい菌が、鼻粘膜上皮細胞を標的として感染する事、及びその分子機構を明らかにしてきた。本研究の目的は、これらを踏まえ、本研究をハンセン病の感染予防およびワクチン開発ヘの基礎的検討の最終段階と位置づけ、実用化に向けてらい菌の鼻粘膜細胞への侵入ペプチドの各部位を標的とした各種抗体を用いて侵入抑制効果を検討するところにある。 これまでの研究結果から想定された侵入活性領域(106~177A.A.の領域)を106-129A.A., 130-151A.A., 152-162A.A., および163-177A.A.に4分割して、夫々の領域に対する高度免疫血清を作製した。抗体処理による鼻粘膜細胞に対する侵入能の変化をらい菌mce1Aローカス中の130-151アミノ酸(mce1A蛋白の最小活性領域)を含む全領域(106-177アミノ酸)を外膜表示した組み換え大腸菌を用いてコロニーカウント法により検討した。その結果、106-129A.A.および 130-151A.A.を免疫源に作製した高度免疫血清に強い侵入抑制効果が認められることが明らかとなった。 これらの結果を基に本年度は、実際にらい菌を用いた侵入抑制実験を行った。単層に培養した鼻粘膜上皮細胞に、130-151A.A. 領域に対する抗体で前処理したらい菌を加え30℃で一晩培養し、細胞を回収して電子顕微鏡を用いてらい菌の細胞内への侵入を観察した結果、130-151A.A. 領域に対する抗体で前処理したらい菌は、鼻粘膜上皮細胞への侵入が抑制されている様に見えた。現在、残り3領域に対する検討と共焦点レーザー顕微鏡を用いた定量解析を行っている。
|
Research Products
(1 results)