2013 Fiscal Year Research-status Report
発達障害とトラウマ性発達障害の鑑別およびトラウマへの治療効果判定に関する研究
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25670515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中村 和彦 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80263911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 登志郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60216348)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 児童・思春期精神医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は虐待関連性発達障害(自閉症様症状およびADHD 様症状)を呈する児童青年、成人患者に対して画像検査を行い、一般のADHDおよび自閉症との比較を行う。脳画像における特徴、PET に関しては、セロトニン・トランスポーター、ドパミン・トランスポーター、アセチルコリンエステラーゼなどの神経伝達系の障害の程度を明らかにし、発達障害と虐待関連性発達障害を鑑別する診断方法を確立する。頭部専用PETスキャナ、浜松ホトニクス社製 SHR12000を用いた。対象は18歳~49歳の成人ADHD 20名(コミュニティーベースドもしくは未治療)の方である。彼らに対して、自閉症の鑑別診断を行い除外された方である。 健常対照群は年齢、性別のマッチした健常対照群、20名である。トレーサとして[11C]SCH23390を脳内のドパミンD1受容体数の指標として用い脳内の結合能を測定した。結果は成人ADHDの脳内では、ドパミンD1受容体数が減少していることがわかった。さらに次のトレーサーとして11C]PK11195を活性型ミクログリア数の指標として用いた。成人ADHDの脳内では、活性型ミクログリアの増加が脳全体に起こっていることがわかった。以前我々は自閉症においてドパミン機能が増加していることを見出したので、ADHDと自閉症を鑑別するには[11C]SCH23390のトレーサーが有効であること考えられる。このトレーサーを虐待関連性発達障害に用いることにより病態を明確にできる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は、画像診断における虐待関連性発達障害(自閉症様症状およびADHD 様症状)を呈する診断方法の確立である。まずはADHDと自閉症の対照群において各種トレーサーを確かめ、D1レセプター選択的である[11C]SCH23390がADHDと自閉症の鑑別に有効である可能性を見出した。ここまでの研究は順調である。次に今後虐待関連性発達障害に対してこのトレーサーが鑑別に有効であるかどうかを明らかにし、発達障害と虐待関連性発達障害を鑑別する診断方法を確立する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、乳幼児期における研究に広げる。PETは子どもに施行できない弱点がある。ゆえに乳幼児期のADHD、自閉症、虐待関連性発達障害に対して鑑別に有効な非侵襲的な鑑別手法を確立する。候補としては、眼球運動など生理学的な指標、CNVの特性、脂質など血清学的な指標を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
被虐待児に関する発達状況および心理生理学的状況の解析の研究において、被虐待児の集積が十分にできず次年度に研究を持ち越すことになった。 被虐待児の集積を行い、発達状況および心理生理学的状況の解析を今年度は行う。比較検討のためさらに乳幼児期における自閉症やADHDの集積を行い解析する。これらの解析費用に研究費を当て研究を遂行する。
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[Journal Article] Microglial activation in young adults with autism spectrum disorder.2013
Author(s)
Suzuki K, Sugihara G, Ouchi Y, Nakamura K, Futatsubashi M, Takebayashi K, Yoshihara Y, Omata K, Matsumoto K, Tsuchiya KJ, Iwata Y, Tsujii M, Sugiyama T, Mori N.
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Journal Title
JAMA Psychiatry
Volume: 70
Pages: 49-58.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Reliability and validity of autism diagnostic interview-revised, Japanese version.2013
Author(s)
Tsuchiya KJ, Matsumoto K, Yagi A, Inada N, Kuroda M, Inokuchi E, Koyama T, Kamio Y, Tsujii M, Sakai S, Mohri I, Taniike M, Iwanaga R, Ogasahara K, Miyachi T, Nakajima S, Tani I, Ohnishi M, Inoue M, Nomura K, Hagiwara T, Uchiyama T, Ichikawa H, Kobayashi S, Miyamoto K, Nakamura K, Suzuki K, Mori N, Takei N.
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Journal Title
J Autism Dev Disord.
Volume: 43
Pages: 643-662.
DOI
Peer Reviewed