2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25670541
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
前田 浩志 広島国際大学, 保健医療学部, 講師 (20330706)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 単色X線 / X線回折 / K吸収端差分 / エネルギーサブトラクション / X線分光 / X線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療被ばく線量の低減を目標とした「単色X線の発生とその利用」についての検討を行い、これを大規模な施設や高額な費用をできるだけ必要としない、「一般のX線診療室で取り扱うことのできるシステムとして構築」することである。X線は、エネルギーが低いほど人体への吸収が大きく、高エネルギーであるほど散乱などの相互作用を起こす確率が高まるため、白色X線を使用すると、被ばく線量が多くなり、散乱X線による画質低下が大きくなる。X線を利用する以上、被ばく線量をゼロにすることはできないが、単色X線の利用によって、より理想的な最小の被ばく線量で最大の情報量を持った診療画像を得ることができる。 本研究では、一般の診療用装置を用いて単色X線を発生させ利用する試みに挑戦した。これまで、兵庫県西播磨に建造されたSpring 8などの大型放射光施設を利用して単色に近い高輝度のX線を取り出すなどの経験が報告されているが、診療現場での実用は行われてこなかった。報告者は、近年の平面型X線検出器などの高感度化された受像系に着目し、一般のX線装置とシリコン単結晶ウェハーの配置により、X線回折による単色X線の取り出しを試みた。一般の診療料用X線装置を使用しているため、X線の発生源とウェハーを近寄せる距離に限界があり、照射できる面積をあまり大きくとることができないことが分かったが、単色X線CTの撮影に成功た。また、平行光として取り扱われている回折現象を円錐形に広がる本来の状態で利用することで、プリズムで分光したような単色X線のエネルギーが空間的に徐々に変化する様子を捉えることにも成功し、この利用についても検討を始めることができた。空間的に異なる位置とはなるもののエネルギーの近接した2種類の単色X線撮影を同時に行うことに成功し、K吸収端差分法による単一の物質のみを描出する画期的な撮影法に到達することができた。
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