2013 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来樹状細胞とオートファジー誘導分子搭載ウイルスによる膵癌免疫療法
Project/Area Number |
25670560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 眞至 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60236677)
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10322372)
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40398459)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
廣野 誠子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60468288)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解型ヘルペスウイルス / iPS由来樹状細胞 / 免疫療法 / オートファジー |
Research Abstract |
1.抗血管新生作用を搭載した腫瘍溶解型ヘルペスウイルスの作成 Thrombospondin-1(TSP-1)は腫瘍の増殖および腫瘍血管新生を特異的に抑制する新規標的タンパクである。殺細胞性ヘルペスウイルスに搭載することで、殺細胞効果のbystander effectが期待できると考え実験を行った。まず、bacterial artificial chromosome systemを用いて、TSP-1を搭載した腫瘍溶解性herpes simplex virus (HSV)を作成した。次いで、まずTSP-1との関連が証明されている胃癌細胞株を用いて、治療実験を行った。結果、腫瘍溶解性HSVの直接的な殺細胞効果に加えて、TSP-1による血管新生抑制効果により、殺細胞効果が促進されることを証明した。この結果については、論文にて報告した。 2.オートファジーを誘導するヘルペスウイルスの開発 オートファジー関連分子として、bcl-2 結合タンパク質として同定されたBeclin-1に注目した。Beclin-1は,PI3K 複合体を形成してオートファジーに関与するとされ、癌抑制作用を有するとされている。まず前実験として、Beclin-1発現とオートファジーとの関連性を種々の細胞株を用いて確認した。結果、多くの細胞株や臨床切除標本においてBeclin-1は発現しており、またオートファジーとの関連性も確認された。 3.iPS細胞由来樹状細胞の誘導 マウスiPS細胞を使用し、OP9細胞(正常なM-CSF遺伝子を欠損したop/opマウスに由来する骨髄ストローマ細胞株)をフィーダー細胞として用いてDCへの分化誘導に成功した。この結果については、論文にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファジーを誘導するヘルペスウイルス開発の点では遅れが生じている。しかし、Beclin-1というオートファジー関連分子を同定し、治療ターゲットとしての候補に挙がってきたので、次年度の研究に進みにあたり新たな知見となっている。また、iPS細胞由来樹状細胞の樹立であるが、マウス由来の細胞で誘導に成功し、次年度の研究を進めるにあたり、前倒し出来た進捗状況である。以上、当該年度の研究の達成に関しての総合的な見解は、挑戦的萌芽研究の2年計画初年度としては、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の計画のひとつであったiPS細胞由来樹状細胞の開発と免疫療法への応用に着手する予定である。すでに、マウスiPS細胞から樹状細胞(DC)の分化・誘導:マウスiPS細胞を使用し、OP9細胞(正常なM-CSF遺伝子を欠損したop/opマウスに由来する骨髄ストローマ細胞株)をフィーダー細胞として用いてDCへの分化誘導には成功している。これらの結果をもとに、安定して培養が可能なシステム構築を行っていく。また、同時並行として、iPS細胞由来樹状細胞の免疫応答に係る基礎的実験を進めていく予定である。さらには、膵癌に対して有効な免疫応答を惹起するペプチドを継続的に検索していく予定である。さらに、オートファジー誘導腫瘍溶解型ヘルペスウイルス或いは抗血管新生作用搭載腫瘍溶解型ヘルペスウイルスとの併用によるby stander 効果の有無を検証する予定である。
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Research Products
(13 results)