2013 Fiscal Year Research-status Report
補助人工心臓治療を高度化する能動的計測法による新しいモニタリングシステムの構築
Project/Area Number |
25670563
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大沼 健太郎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (50527992)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工心臓 / モニタリング / 流量推定 / 能動的計測 / 心拍変動 |
Research Abstract |
病態や治療効果の把握、患者管理には生理機能や補助人工心臓(VAD)駆動状態等の情報の獲得が重要である。本研究では、VAD治療を高度化する能動的計測法による新しいモニタリングシステムの構築を目的とする。本年度は、中核となるVAD駆動の変動による能動的センシングの入力となる計測系の構築、補助流量や心機能推定法の確立を目指して以下の項目を実施した。 【1.計測系】能動的センシングの基礎となる入力として、非観血に取得可能な計測系を構築した。①拍動流VAD:先行研究にて開発したドライブラインの空気流量を用いた流量推定装置のセンサ部とアルゴリズムを改良し、VAD駆動用空気流量と平均拍出流量の相関性を向上した(計測系組み込み予定の小型駆動装置を用いた模擬循環試験においてR2=0.86からR2=0.97へ改善)。②連続流VAD:試作型軸流ポンプを用いた閉ループ模擬循環試験において循環抵抗および作動流体の粘度を変更した際の電流値を測定し、それぞれステップ状に回転数を変更したときの立ち上がりの遅れと絶対値がそれぞれ異なることを確認し、過渡応答性の解析を開始した。 【2.センシングアルゴリズム】拍動流システム、連続流システムともに確率的アトラクタ探索モデルを応用することで、センシングのための駆動変動と必要とされる補助流量の維持を両立するためのアルゴリズムを構築した。具体的には、アトラクタ選択モデルdx/dt=A・(-dU(x)/dx)+ηの二重構造とし、重みに相当するパラメータは計測系と併せて今後実験的に検討する。また、心機能を含む生理機能の推定法構築にむけて、過去のVAD装着下の慢性動物実験データにおけるデバイスの駆動条件の変更点に着目し、その際の血行動態や心拍変動の変化について解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、能動的センシング機構の入力となる計測系の構築と補助流量や生体側指標の推定法開発を目指した。現在まで、模擬循環試験において流量推定法の最適化を実施した。生体情報の推定に関してはデータ解析を開始したものの若干遅れがあるいっぽう、次年度以降に計画していた能動的センシング機構の一部と基礎となるアルゴリズムを構築した。以上から総合的には順調な進展と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
計測系と能動的センシングアルゴリズムに関してひきつづき適宜最適化を行い、これらを組み込んだ能動的センシング機構(VADの変動制御システム)を構築する。また、模擬循環試験による駆動試験において構築したシステムの妥当性を検証する。 生体情報の推定に関しては、VAD駆動条件の変化に対する時間的応答性に主眼を置いて解析することでVAD駆動と生体側情報との関係性の明確化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、計測系の構築と補助流量推定法の最適化を主としたためデータ整理などに補助を要しなかったことから謝金を生じなかった。同様に、計測用センサを要素技術の一部を先行研究と共有できたことから物品費が当初の見積もりを下回ったため、次年度使用額を生じた。 次年度は、主として予定している計測系の最適化と能動的センシング機構の構築、模擬循環試験に関わる消耗品費、現在から次年度までの成果公表を積極的実施するための費用としてあわせて計上し、更なる研究推進を図る。
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