2013 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクト・リプログラミング技術に基づくヒト骨再生
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25670656
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リプログラミング |
Research Abstract |
骨粗鬆症に伴う骨折、関節リウマチに伴う関節破壊、変形性関節症における軟骨下骨の異常等、さまざまな骨の病態に、骨リモデリングの異常が関与している。骨芽細胞は、骨形成を担い、骨組織の再生を司る細胞である。もし患者由来の骨芽細胞を多数調整して骨欠損部位に自家移植できれば、骨粗鬆症性骨折や人工関節置換後の骨修復に対する効果的な治療法となる可能性がある。従来から、骨肉腫の摘出手術後の骨欠損部の修復を目的として、間葉系幹細胞を含む骨髄細胞を移植し、骨再生を促進する治療が行われている。しかし骨粗鬆症等の患者は多くが高齢者であり、大きな侵襲を伴う骨髄採取は困難である。さらに高齢者からは十分な数の骨髄細胞を得難く、また間葉系幹細胞の比率が低く、骨芽細胞への分化も若齢者に比して悪い。 そこで我々は、ヒト骨芽細胞を線維芽細胞より直接誘導することを試み、これに成功した。本研究では、さらに安全性の高いベクターを用いてこの技術の向上を図るとともに、骨形成能を評価し、造腫瘍性等を検証することで、実用的な骨再生医療への基盤を確立することを目的とした。 その結果、非ウイルス的方法によって、線維芽細胞より骨芽細胞を直接誘導することに成功した。具体的には、ヒト線維芽細胞を骨芽細胞に誘導しうる遺伝子を見出し、それらの導入に適したベクターを構築し、導入後の培養等の条件を検討した。得られた骨芽細胞について、骨基質産生能、ミネラリゼーション、骨芽細胞特異的遺伝子発現プロファイル等の解析を行った。さらに造腫瘍性について検討を加えている。 本研究の成果は、移植用のテーラーメイド骨芽細胞を創生することにより、骨粗鬆症性骨折や人工関節置換後の骨修復等のさまざまな骨疾患の治療に応用が期待できる。また、骨疾患の発症機構の解明や新しい創薬標的分子の発見などにも応用可能であろうと考えられる。
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