心肺蘇生におけるポストコンディショニングの役割に関する基盤研究

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25670769
• Research Institution: Tokyo Medical University
• Principal Investigator: 園田 清次郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (40226717)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 太田 祥一 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (70328194) ; 三島 史朗 東京医科大学, 医学部, 教授 (20260862)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 心肺蘇生 / 虚血再灌流障害 / ポストコンディショニングィショニング / 吸入麻酔薬

Outline of Annual Research Achievements

心停止で虚血になった臓器では、心肺蘇生で再灌流が始まると虚血再灌流障害により壊死やアポトーシスが臓器の機能不全を引き起こすと考えられる。虚血臓器の再灌流時に短い虚血を繰り返すことや、ガス性麻酔薬を投与することにより虚血再灌流障害を防ぐ方法は、それぞれ虚血性および麻酔性ポストコンディショニングとして知られている。本研究では、動物実験を用いて心肺蘇生開始時の吸入麻酔薬の投与時期と酸素濃度などについて検討して、臨床で実際に応用可能な有効なポストコンディショニングのプロトコールを開発することを目的とする。
① 蘇生率と麻酔性ポストコンディショニング：心肺蘇生に麻酔性ポストコンディショニング効果を調べるため、ブタを用いて8分間の心室細動後に心肺蘇生を行い、その後ガス性麻酔薬イソフルランで換気する際、麻酔薬の投与を心肺蘇生開始時からと心肺蘇生途中から、心肺蘇生終了後と、麻酔薬を投与するタイミングを変えて投与し、自己心拍再開率や不整脈発生率を測定し、虚血再灌流障害を防げるか検討する。次に、心臓の病理形態学的解析や、TUNEL染色、トロポニンT抗体を用いた免疫組織学的解析、血中のトロポニンT量をELISAで調べ、心筋細胞の損傷の程度を比較検討する。
②蘇生率と酸素濃度によるポストコンディショニング：心肺蘇生時に経時的に酸素濃度を上昇するガスを用いたポストコンディショニングの効果調べるため、ブタを用いて15分間の心室細動の後、再灌流後酸素濃度を段階的に0分、10分、20分、30分で上昇させ、心エコー上で左室駆出率と脳作業カテゴリースコアにより神経学的解析や自己心拍再開率、不整脈発生率を測定する。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究では、心肺蘇生におけるポストコンディショニング効果を増強するため、動物実験を用いて吸入麻酔薬の投与時期と酸素濃度などについて検討し、臨床で実際に応用可能な有効なポストコンディショニングのプロトコールを開発することを目的とする。実験動物はブタを使用し、心肺蘇生手技の有効性を評価するために録画解析を用いる。蘇生に用いるガス組成が通常の機器における安全基準を満たさないことから、機器を基準から外れるガス組成で使用できるように改造した。録画解析に関しては、専門家との意見交換を行い準備を進めている。体調不良のため自宅療養を要する期間が長く、研究の達成度に遅れが生じている。

Strategy for Future Research Activity

本研究は、ブタによる動物実験系を用い心肺蘇生に関して、ガス性麻酔薬と経時的に酸素濃度を調整するガスを用いたポストコンディショニングの効果を検討する。蘇生に関しては、自己心拍復帰率や不整脈発生率を測定し、脳蘇生に関しては病理形態学的検索と神経学的欠損スコア、アポトーシスについてTUNEL法と関連タンパク質Bcl-2やBax発現を測定して評価する。心筋蘇生では、心筋障害と新機能回復に関して、心筋損傷の指標であるトロポニンT発現レベルと心室壁運動を調べ、アポトーシスについても検討する。
心肺蘇生実験は、蘇生処置を適切に行うために多くがブタを用いている。３群に１０例づつ３０匹を用いる。
蘇生実験では、全身麻酔下に気管挿管を行い血行動態測定用のカテーテル類と心室細動を起こす電極を挿入する。蘇生後に一定間隔で各種の測定を行い、カテーテル類を抜去して覚醒させた後に気管チューブを抜管する。カテーテル挿入部の痛みに対して鎮痛剤を用いながら観察を行う。４８時間後に神経学的回復を評価してから、全身麻酔下に各種の測定を行い脳と心臓を形態学的変化を調べるために摘出する

Causes of Carryover

【現在までの達成度】において、今年度の支出が予定額より少なくなったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

【今後の研究の推進方策】の計画に従って研究を推進する。