2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 春比古 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30135743)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔レンサ球菌 / 自然免疫 / プロバイオテイクス / マウス / サイトカイン / 抗菌因子 |
Research Abstract |
口腔常在菌叢の主体を成すレンサ球菌は各種糖類を発酵して乳酸等の有機酸を産生する。乳酸菌類を経口摂取して腸内細菌叢を改善して健康増進を目指すプロバイオテイクスが広く受け入れられている。近年、菌体成分をパターン認識する自然免疫系の解明が進み、腸内の「善玉菌」は自然免疫レセプター、即ちToll-loke rceptor(TLR)類やNOD-like receptor(NLR)類を介して自然免疫系を賦活して、健康を維持・増進しているとの説がある。そこで、口腔レンサ球菌の自然免疫増強作用を実証して、天然のプロバイオテイクス機能が期待されるこれらの菌との共生の概念を確立したいと考えた。 1.研究の着手に先立って、申請者がこの方面で実施してきた多くの実験成績を整理して、今後供試する菌種・菌株を絞り込むことにした: 合成ムラミルジペプチド(MDP)を予め静脈注射したC3H/HeNマウスに各種口腔レンサ球菌の全菌体を尾静脈注射すると、血清中に明確なTNF-aならびにIL-6活性が誘導された。総計13菌種131株の口腔レンサ球菌全菌体はいずれも有効であったが、S. salivarius, S. sanguinis等には強い活性が認められた(以上の成績は申請者が指導に当たった磯部 豊博士の学位論文として公表されている)。 3.当初の実験計画に沿って、S. salivarius, S. sanguinisを含む代表的な口腔レンサ球菌について、菌体を物理的に破砕して細胞壁画分、細胞質画分を調製した。 4.別途、各種菌体成分をヒト口腔上皮細胞培養系に添加して、各種抗菌因子誘導能を検討する実験を進めている。その過程で活性型ビタミンD3との組み合わせで、各種菌体成分に明確な誘導作用を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に申請者が属する研究室の建物が改修作業に入って、現在に至るまで、研究は仮移転した臨時の研究室で実施している状況にある。共通実験室等も利用して上述の成果を得ることはできたが、当初の計画に対比すると、研究が遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
今秋には改修なる研究室に戻って存分に実験が可能になる。特に、殆ど着手できなかったin vitro培養系の実験を集中的に実施して当初の計画に沿った研究を進めて、充分な成果を得たいと考えている。特に下記の実験に力を注ぎたい。 1.上述のヒト口腔上皮系細胞培養系で、活性型VD3と口腔レンサ球菌関連標品を組み合わせて、抗菌因子産生誘導能を多面的に検討する。即ち、活性型VD3前処理→レンサ球菌標品、その逆、同時刺激を様々に試行して至適な条件を探る。ちなみにDV3アナログで単球系細胞に対しては強い分化誘導能を示した(研究業績欄参照)OCT(中外製薬より分与)も供試して検討する。なお、上記実験では4種の口腔上皮系細胞株といくつかの正常歯肉上皮細胞(primary culture)を供試しているので、口腔レンサ球菌標品に高い応答性を示す細胞を選んで、以降の実験を進める。抗菌因子としては市販のELISAキットが入手できるHBD2を主体に実験を進めるが、遺伝子発現に関してはHBD3やLL-37についても検討する。 2.上記の成績を踏まえて、腸管上皮細胞でも同様の実験を実施する。 3.至適な条件下で、抗菌因子誘導の機序解明を目指す。特に、想定されるレセプター系として、TLR2, TLR4, NOD2の関与の可能性をsiRNA法を駆使して探求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の次第で、研究室の改修工事にため研究は当初計画よりも遅延傾向にある。特にin vitro培養系実験が遅れているので、研究費の残が生じた。 改修後の研究室で、集中的に実験、特にin vitro実験を実施する予定である。昨年度の残金は今年度の予算と合わせて、その経費に充当する計画である。
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