2014 Fiscal Year Research-status Report
下顎頭軟骨における間葉系幹細胞分化のマイクロRNAによる分子制御基盤の解明
Project/Area Number |
25670876
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70241643)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 文恵 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10510018)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 下顎頭軟骨 / 一次軟骨 / 間葉系幹細胞 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度のマイクロアレイによる検討より、micro RNA-200a (miR-200a)は、下顎頭軟骨中の間葉系幹細胞の軟骨細胞への分化を抑制するが、一次軟骨における間葉系幹細胞からの軟骨細胞への分化は抑制しないと考え、これを検討することとした。 はじめに、miR-200aの顎顔面領域における局在を検討するためにin situ hybridizationを行った。胎齢14、16、18日のマウス胎仔の頭部を切断し、固定、脱水し、パラフィン切片を作製した。これらの切片を用いてin situ hybridizationを行い、miR-200aの局在を検討した。胎齢14日目において下顎頭軟骨、嗅上皮、鼻鋤器において陽性像が認められた。一方、胎齢16、18日の試料では下顎頭軟骨における陽性像は認められなかった。 次に我々は下顎頭軟骨ならびに一次軟骨であるメッケル軟骨におけるmiR-200aの発現を定量的に検討することとした。これに先立ち、miRNAの定量に際してのハウスキーピング遺伝子を検討した。過去の報告からlet-7fをハウスキーピング遺伝子として用いることを考え、この遺伝子の下顎頭軟骨における発現をリアルタイムPCR法にて検討した。胎齢14、16、18日のマウス下顎頭におけるlet-7fの発現量はほぼ一定であり、有意差は認められなかった。よって、miR-200aのリアルタイムPCR法による定量的検討ではlet-7fを内部標準として使用することとした。胎齢14、16、18日のマウス下顎頭におけるmiR-200aの発現をリアルタイムPCR法により検討したところ、胎齢16、18日目では14日目に比べ有意に発現が減少することがわかった。一方、col2a1、sox9などの軟骨関連遺伝子の発現は有意に上昇した。 本年度の結果より、以降の検討は胎齢14日のマウス下顎頭軟骨を用いて進めることとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はマイクロアレイ解析による結果から、マウス下顎頭軟骨細胞の分化を制御するmicro RNAとして miR-200aを考えた。一方で、一次軟骨ではmiR-200aは異なる働きをしているものと仮説を立案した。本年度の検討から、miR-200aは、胎齢14日マウスの顎顔面領域において嗅上皮、鼻鋤器に加え、下顎頭軟骨に限局して発現していることがわかった。また、その発現量は胎齢14日以降、軟骨関連遺伝子の発現が上昇する一方で、miR-200aの発現は減少することがわかった。次年度より、胎齢14日マウス下顎頭軟骨の器官培養に対しmiR-200a mimicやinhibitorの導入を行い、このときの下顎頭軟骨細胞の分化の変化を定量的に検討する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
胎齢14日マウス下顎頭軟骨の器官培養に対し、エレクトロポレーション法によりmiR-200a mimicとinhibitorの遺伝子導入を行う。導入した試料よりmiRNAを含めたtotal RNAの抽出を行い、cDNAを合成し、リアルタイムPCRを行う。Col1a1、col2a1、sox9などの軟骨分化関連遺伝子の発現を検討し、miR-200aの下顎頭軟骨中の間葉系幹細胞の分化に与える影響を検討する予定である。遺伝子導入を行った器官培養について、パラフィン切片を作成し、組織変化を観察するとともに、軟骨細胞層特異的に発現する mRNAであるSox9, Col2a1, Col1a1, Col10a1, PTHrP, IHH, FGFR1-3などの発現パターンや発現量について、ISHあるいは real-time PCR 法を用いて検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度までは検討対象とするmiRNA、実験に使用する動物の至適な胎齢、遺伝子発現量を定量化する際に使用するハウスキーピング遺伝子の検討などと、実験の条件の検討を行うことが多かった。よって、比較的高額である遺伝子導入試薬や抗体、プローブなどの購入の多くが次年度へ持ち越しとなったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子導入に使用するmiR-200a mimicおよびinhibitorを購入する。また、遺伝子導入後の解析として軟骨関連遺伝子のリアルタイムPCRやin situ hybridizationを予定しているため、これらに使用するPCR試薬、プライマー、プローブなどを購入する。また、免疫染色に使用する抗体も数種類購入予定である。
|
-
[Journal Article] Compressive force-produced CCN2 induces osteocyte apoptosis through ERK1⁄2 pathway.2014
Author(s)
2.Hoshi K, Kawaki H, Takahashi I, Takeshita N, Seiryu M, Murshid SA, Masuda T, Anada T, Kato R, Kitaura H, Suzuki O, Takano-Yamamoto T
-
Journal Title
J Bone Miner Res.
Volume: 29(5)
Pages: 1244-57
DOI