2015 Fiscal Year Annual Research Report
生気象学を用いた顎関節症および舌痛症の発症予測システムの開発
Project/Area Number |
25670892
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江國 大輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (70346443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
竹内 倫子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50403473)
友藤 孝明 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80335629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気象学 / 顎関節症 / 舌痛症 / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本古くから病気と気象との関係を調べる学問は,「生気象学(biometeorology)」として発達してきた。医科領域では,気象の変化は,自律神経のバランスや身体的・精神的ストレスの発症に関わることが分かってきている。口腔領域においても,「気象や季節の変化」に連動する自律神経や心理的状態の変化が身体的・精神的ストレスを介して「口腔内の不定愁訴」に影響を与えることが予想される。 本研究では,顎関節症,舌痛症および歯周病の急性期症状の発症(急発)と気象との関係を調べることを目的とした。顎関節症,舌痛症および歯周病の急発と診断された患者が選ばれた。口腔内診査を行い,アンケート調査,自律神経バランス測定,唾液中のコルチゾール濃度,気象データを用いて分析した。症例数が少なったが,顎関節症と舌痛症では,気象との関連がみられなかった。一方,顎関節症の急発を経験した患者において,自律神経バランスでは,急発時と安定時との間に変化が観察された。迷走神経の活動を反映するHF (normalized unit [n.u.]) は,急発時に有意に減少した。自律神経バランスLF/HFは急発時に有意に増加した。唾液中のコルチゾール濃度は,急発時と安定時との間に有意な差はなかった。しかし,すべての患者において,急発時に増加していた。 慢性歯周炎の急発を経験した患者153人では,ARIMAモデル分析の結果,気圧低下と気温上昇が急発と関連していた。すなわち,気圧低下の毎時変化が大きかった日の2日後,気温上昇の毎時変化が大きかった日の1日後に歯周病の急発が発生しやすかった。 歯周炎は歯を失う原因の一つであるため,慢性歯周炎の急発を予測することは,歯の保存のためにも重要と考えられる。気圧低下や気温上昇の毎時変化がどの程度あれば慢性歯周炎が急発するのかなど,慢性歯周炎の急発の予報に寄与できる可能性がある。
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