2013 Fiscal Year Research-status Report
外国人患者へのケアの現場で何が起きているのか?-日本人看護師の感情体験の分析-
Project/Area Number |
25670927
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
寺岡 三左子 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30449061)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化 / 外国人 / 看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国人患者へのケアに伴う日本人看護師の感情体験を分析し、外国人患者と日本人看護師間の関係構築プロセスの実態を解明することである。 研究方法は、野中・樋口(2010)が示した在日外国人と看護師の関係構築プロセス(図1)に着目し、看護師が外国人患者との関わりをためらう段階に焦点を当て、帰納的にアプローチを行う。具体的には、エスノグラフィーの手法を用いる。感情に関する研究の多くは、実践を振り返って想起された体験をインタビューもしくは調査用紙よって把握し、分析する方法であるが、これらの方法は、自尊心や看護のアイデンティティに関わる負の感情のデータは語られにくいこと、時間の経過とともに忘れてしまう感情をキャッチすることが困難であることが予想された。認知に焦点を当てた方法だけでは実践の現場を捉えることは難しいと考えたからである。インタビューのほか、参加観察を行うことで、可能な限りリアルタイムに近い感情をキャッチする。 フィールドワークにおいては、現場の具体的な事象を概念で説明することが必要となる。そのため、初年度は、関連する用語の概念分析を行っている。文化を考慮した看護(Culturally Congruent Care)の概念モデルを示した藤原(2008)は、先行要件や概念属性に価値観や文化の「違い」を挙げている。この「違い」を認識する過程には、看護師が相手の文化的背景をどのように捉えているかを知る必要があるが、文化的背景が何を指すのか、その概念は様々であり、疾患をもつこと自体を文化的背景として捉えている研究もみられた。そこで、Rodgers(1989a)のアプローチを用い「文化的背景」の概念分析を行うべく、文献の精読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、フィールドアクセスの準備までを予定していたが、概念分析に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
概念分析では、関連学問分野も網羅し、概念間の関連性を検討する。その結果を踏まえ、フィールドワークについて、データ収集のスケジュールを組み直す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールドワークに伴い、データ収集に関連した機器の購入を予定していたが、フィールドへのアクセス時期が予定よりも延長され、備品の購入予定が延期されたため。 研究対象フィールドの確定後に次年度予算と併せてデータ収集・管理に必要なパソコンおよび周辺機器を購入予定である。また、フィールドアクセスのための旅費が必要となる。
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