2013 Fiscal Year Research-status Report
卒後看護師に対するシミュレーション教育プログラムと評価システムの開発
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25670935
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
穴吹 浩子 京都橘大学, 看護学部, 助教 (40582870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
マルティネス 真喜子 京都橘大学, 看護学部, 助教 (10599319)
阿部 祝子 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40575693)
前原 澄子 京都橘大学, 看護教育研修センター, 教授 (80009612)
平井 亮 京都橘大学, 看護学部, 助手 (70708502)
久松 志保 滋賀医科大学, 医学部, 看護師 (10730335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シミュレーション教育 |
Research Abstract |
本研究は卒後2~5 年目看護師を学習者として、高性能シミュレータを用いた看護実践能力向上を目指した教育プログラムとその評価手法の開発を目的とする。平成25年度は、主として教育プログラムの開発を目指し、3回の研修を開催した。研修プログラムはシミュレーションを展開するうえで必要となる知識や技術を教授し、その後、シミュレータを用いたシミュレーションとした。 開催後に受講生の自己目標に対する評価と、研修目標に対する到達度の確認として行ったルーブリック評価を用いて25年度のプログラム評価を行った。その結果、看護実践の基盤となる知識や、技術やフィジカルアセスメントの方法が習得できた。それらの学びを活かして実践を積むことが研修後の受講生の新たな課題となっていた。 さらに研修から半年後に、受講生の看護実践がどのように変化したのかをフォーカス・グループ・ディスカッションを行い分析した。その結果、研修前の思いとして「あまり経験することのない症例に対する不安」、「表面上、対処できているが根拠が曖昧で自信がない」などの気持ちが述べられた。しかし半年後には、「1人で考えるのではなく相談するようになった」、「自己省察のみならず他者と実践を振り返る機会が増えた」「根拠に基づいた実践を意識するようになった」、「研修で学んだことを他の状況でも応用している」など、行動や姿勢の変化が述べられた。受講生の背景は様々であったが提供する看護の根拠が曖昧であることで自信がもてないという、共通した課題がみられた。しかし研修で受講生は実践の根拠となる基礎を学び、それらを応用することで現実的に活用可能なものとしていた。それは様々な自己課題への取り組みが半年後も継続されている姿に現れている。このような結果は、私たちの想定を超えるものであり、効果的な学習プログラムの開発には、このような縦断的研究を続けることが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究で、①卒後2~5 年目看護師のスキルアップと状況対応力の向上のためのシミュレータを用いた教育プログラムの開発、②①におけるファシリテータとしての教師及び臨床看護師(実習指導者レベル)の関与と学習効果の分析、③学習後の臨床における学習内容の活用及び内面化プロセスの縦断的調査、④知識、スキル(技術)、チームワーク等の側面からシミュレーション教育と臨床における看護実践能力の評価項目の抽出とそれを可視化し学習効果を可視化する評価ポートフォリオの作成・活用と評価を目指す。 平成25年度は3回の研修を開催し、受講生の目標に対する到達度の確認やインタビュー調査するなど、受講生を研修直後、研修から半年後、1年後と縦断的に調査することで臨床における学習内容の活用状況と看護実践の変化を明らかにした。それらを用いてプログラム評価を行った結果、看護実践の根拠となる基礎を強化する必要があることが明らかになった。そのため次年度のプログラム構成や内容を再度、検討している。 さらにシミュレーション後のデブリーフィング中の動画を用いて、ファシリテータとしての教師と臨床看護師の特徴と学習効果について分析している。 学習効果を可視化する評価ポートフォリオの作成については、受講生が研修後も目標の到達状況が確認できるルーブリックを作成した。受講生を縦断的に調査することで、その活用状況と効果を検討している。 本研究は学会発表するなどして社会に公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の受講生の目標の到達状況やインタビュー調査の結果をもとに、看護実践の根拠となる基礎を強化できるプログラムを検討し運用する。併せて受講生の学習内容の活用と看護実践の変化を昨年度の研修から1年後となる今年度の研修後も縦断的に調査し、内面化プロセスを明らかにするとともに再度プログラム評価をすることで看護実践能力向上を目指したプログラムを構築する。 また評価ポートフォリオに関しては、ルーブリックの1年間の活用状況と受講生の看護実践の変化と併せて評価していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレーション研修開催時にはシミュレータのレンタル料が必要になるが、今年度は不要になった。また、シミュレーションやファシリテーション研修にほとんど参加できなかったことが要因と考えられる。 次年度はシミュレーション研修時のシミュレータのレンタル料が必要になる。またシミュレーションやファシリテーション研修に参加し、最新の知見を得るとともに意見交換する予定である。 平成26年度も3回のシミュレーション教育研修開催を予定しており、医療消耗品やシミュレータのレンタル料、研究協力者への謝金や交通費などの経費が必要である。またデータ分析を継続するために記録媒体の購入が必要となる。さらにシミュレーションやファシリテーションに関する研修に参加し、最新の知見を得るとともに意見交換をすることで、シミュレーション教育プログラムを精選したい。
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Research Products
(1 results)