2013 Fiscal Year Research-status Report
在宅重症心身障害児の家族エンパワメントに焦点を当てた家族ケア実践モデルの開発
Project/Area Number |
25670961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
涌水 理恵 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70510121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 奈保 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (10291577)
藤岡 寛 つくば国際大学, 保健医療学部, 准教授 (90555327)
沼口 知恵子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50381421)
西垣 佳織 東京医療保健大学, 保健医療学部, 助教 (90637852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重症児 / 在宅看護 / 家族看護 / 家族エンパワメント / 家族ケア / モデル開発 / 質的研究 / インタビュー |
Research Abstract |
在宅重症児家族の生活の実態をインタビュー調査によりデータ収集している。現在までに計20組の家族から、データを収集した。リクルートは機縁法による。収集するデータに地域特性が出ないよう、関東近郊5都市でリクルートをおこなっている。面接当日は母、父、12歳以上のきょうだいで会場に来てもらい、その後別れて、個別に「自分の置かれた環境、日常の体験、思い(患児への思い、自分の苦悩、困っている事etc)」についてプライバシーの守られた空間で半構造化面接をおこなっている。面接時間は原則、60分である。のちに開発するケアモデルの汎用性を高めるため、重症児の年齢、疾病の種類や医療的ケアの有無、在宅療養期間などにばらつきを持たせて、対象となる家族をリクルートしている。面接で得た語りのデータはICレコーダーに録音後、逐語録化しており、今後、この逐語録を2つの方法で質的に分析/解釈する。1つは“家族”に焦点を当てた分析で、家族間の思いの「共通性」「相対性」「個別性」、状況の捉え方の齟齬、生じやすい問題などを抽出する。もう1つは状況の異なる母、父、きょうだいのデータを一括りにし、“立場”に焦点を当てた分析で、それぞれの“立場”に必要な支援、また養育する側とされる側に必要な支援を検討する。 上述のインタビュー調査を行っている最中に、並行して、在宅重症児家族の生活実態、QOL、および困難感、負担感、ニーズ、エンパワメント等について報告がある国内の先行研究を系統的にまとめ、『日本の在宅重症心身障害児の家族の生活実態に関する文献レビュー(仮)』として某雑誌に投稿中であ
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ある地域ではリクルートに滞りがある状況であるが、その他の地域では滞りなく被験者のリクルートおよびインタビュー調査の履行がなされている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き、データ収集を続行し、収集したデータから導き出される理論が飽和し次第、データ分析に移行する。 データ分析については、逐語録を2つの方法で質的に分析/解釈する。1つは“家族”に焦点を当てた分析で、家族間の思いの「共通性」「相対性」「個別性」、状況の捉え方の齟齬、生じやすい問題などを抽出する。もう1つは状況の異なる母、父、きょうだいのデータを一括りにし、“立場”に焦点を当てた分析で、それぞれの“立場”に必要な支援、また養育する側とされる側に必要な支援を検討する。その後、在宅重症児家族ケア実践モデルの開発と評価ツールおよびアウトカムの提示を以下のa. b.の手順で行う。 a. 在宅重症児家族ケアに関わる専門職を対象としたフォーカスグループインタビュー実施:検討した「在宅重症児家族に必要な支援」の分析結果を提示しつつ、当該家族をエンパワメントするために“実践可能”な支援について、家族に関わる専門家たち―多職種にフォーカスグループインタビュー(以下、FGI)をおこなう。専門家とは在宅重症児とその家族に関わる医師、看護師、ケアワーカー、保健師、行政の福祉関係担当者30名を予定している。 b. 在宅重症児家族ケア実践モデルの策定:家族を対象とした面接データの分析により「在宅重症児家族に必要な支援」が提示され、さらに上記 a.で示した通り、当該家族に関わる専門家を対象としたFGIのデータ分析により「在宅重症児家族に関わる専門家からみた“実践可能”な支援」が明らかとなったところで、在宅重症児家族ケア実践モデルの作成を進めていく。評価ツールとアウトカムの検討もこの時期にモデルと併せておこなう。研究者間で議論し、完成形のモデルを策定した後、在宅で生活する重症児とその家族をケアする各専門家の視点からモデルの内容妥当性について確認してもらう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度中に計画していたインタビューが次年度に繰り越されたため。 2015年度予算の残額は2016年度施行のインタビュー調査の実施費用に充てる。
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